やはり「ツイ廃」? イーロン・マスクがツイッター“乗っ取り”に転じた理由

 いったい何が目的なのだろうか。

 テスラとスペースXのイーロン・マスクCEOのことだ。ツイッター株を大量購入し、これが判明すると4月5日にツイッター社はマスクの取締役就任を求めて一旦は快諾したが、10日には就任を撤回して御破算にしてしまった。すると13日には約5.4兆円を投じて、今度は完全買収による“乗っ取り”を提案したのだ。

 フォーブスによれば総資産27兆円で今や世界一の金持ちとなったマスク氏。SNSでは「真のツイ廃は、Twitter買収しちゃうよね」との声もあるが、確かに異様な入れ込み具合なのだ。

「対抗するツイッター社は、マスクが現在の持ち株約9%を超えて15%を保有するに至った場合は、マスク以外の株主に割安で新株を取得できる権利を付与する『ポイズンピル(毒薬条項)』を導入。マスクの持ち株の比率を希薄化させるという買収防衛策に出る構えです」(経済ジャーナリスト)

 マスク氏が取締役就任を辞退した理由は明かされていないので不明。ただ既に消去された過去のツイートには、ツイッター上の広告の排除や社名から「W」の文字をなくすなどの要求が書き込まれていた。またマスク氏は「言論の自由」を掲げて、ツイッターのアルゴリズムがブラックボックスになっていることの危険性を問題視して、「文明の未来のため」などとも語っている。

 確かにツイッターの影響力は絶大なものがあるが、ことZ世代などの若者に限れば「オワコン」との見方もある。だから所詮はイチSNSに過ぎず、そんな大げさなものなのかとも思えて、となればやはりマスク氏は「ツイ廃」なのではないか、と勘繰られるのだ。

「文明の未来」までかかっているのだから、当然マスク氏は「金もうけのためではない」としているが、それは同社の宣伝戦略を考えれば極めて大きな疑問符がつく。

「テスラは他の自動車メーカーが膨大な広告・宣伝費をかけるのとは一線を画し、広告費を一切使わないことで有名です。その一方で宣伝媒体として使ってきたのがSNSで、そこから広がる口コミの力でした。その意味ではSNSはテスラにとっては生命線でもあり、だからこそ外部からは見えないアルゴリズムは撤廃されるべきものなのでしょう」(同)

 マスク氏は買収提案が拒否された場合の「B案」も用意しているとして、攻勢の姿勢を崩さない。となるとツイッター株争奪戦が起こり、株価は沸騰……と、通常の敵対的買収における株の値動きをしそうなものだが、買収提案を受けた14日のツイッター株は約2%下落して、マスク氏が買取価格として提案した1株54.2ドルを大きく下回る45ドルに。どうやら周囲も呆れているようだ。

(猫間滋)

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