米諜報戦略当局者とも太いパイプを持つ日本の国際政治アナリストが言う。
「現職の上院諜報委委員長や国家情報長官経験者など米政官界の有力者らがメディアで口にした内容は、いずれもタイガーチームをはじめとする米諜報戦略当局からのリーク情報です。つまりプーチンがパラノイアや狂気に陥っているとの大胆な指摘も含めて、彼らの発言は米諜報戦略当局の認識そのものなのです」
この国際政治アナリストはさらに踏み込んで、重大情報を明らかにした。
「実はその後、バイデンはタイガーチームをはじめCIA(中央情報局)や国防総省などのIC(インテリジェンスコミュニティ)に対して『プーチンの心身状態に関する情報の収集と分析を最優先課題に格上げせよ!』との命令を発出しています。この命令が意味するところ、それはプーチンがウクライナでの残虐行為を日増しにエスカレートさせていくのを目の当たりにしたバイデンが『正気を失ったプーチンが核の発射ボタンに手をかけるのではないか』と真剣に考え始めたことなのです」
ならば、最優先課題へと格上げされた極秘調査の結論はどのようなものだったのか。同じく米諜報筋の内情に詳しい日本の国際軍事アナリストは、
「調査は今も続けられていますが、すでに一定の結論が出ています。その一部は3月8日に米下院情報特別委の公聴会でCIAのウィリアム・バーンズ長官が明らかにしていますが、ICはプーチンを『追いつめられると暴発する危険性のある、妄想を抱えた指導者』と結論づけました」
とした上で、次のように暴露するのだ。
「当然、バイデンには、公聴会では語られなかった衝撃的な調査結果も報告されています。それが『プーチンは今、わずか4人の側近に依存せざるを得ない異常な孤立状態に追い込まれている』『にもかかわらず、現在の戦況や西側諸国による経済制裁、あるいは内部の裏切りなどに対する苛立ちや恐怖から、4人の側近をしばしば罵倒するなど、極度の怒りを表出している』というもの。すなわち、核の使用をも決断しかねない大統領執務室の戦慄の実態が浮かび上がってきているのです」
ここに登場する側近とは、パトルシェフ安保会議書記、ナルイシキン対外情報局長官、ボルトニコフ連邦保安局長官、ショイグ国防相。このうち、ショイグ国防相を除く3人はKGB(ソ連国家保安委員会)時代のプーチン大統領の同僚で、KGB内の最大派閥と言われたサンクト派の主要メンバーだった。
*「週刊アサヒ芸能」3月24日より。【3】につづく