ラスベガス・サンズやシーザーズ・エンターテインメントのアメリカ勢、ギャラクシー・エンターテインメント・グループの中国・マカオ系と、カジノ運営の世界的な企業が次々と日本から撤退し、暗礁に乗り上げたかに見えた日本版カジノ。政治主導で日本国内にカジノを設置しようとしたものの、地域住民の反対にコロナ禍も重なり、カジノ反対派の間からは「もうオワコン」と喧伝する声も聞こえていた。
ところがどっこい、コロナさえ落ち着けばカジノ業界は好調で、むしろ潜在力の高さが窺える結果が伝えられた。
「アメリカのカジノ業界団体の米ゲーミング協会(AGA)が発表したところによると、21年の業界全体の売り上げは約6.1兆円(530億ドル)で、19年に記録した過去最高額を20%も上回りました。しかも、アメリカでカジノが合法化されている34州のうち22の州で過去最高益ということで、人気の裾野の広さも感じさせるものです」(カジノ事情に詳しいジャーナリスト)
巣ごもり需要でオンラインカジノが伸びたからでは?との想像も働くが、オンラインでの売り上げは37億ドルなので、貢献はしたもののオフライン・カジノを凌駕するというほどのものではない。結局のところ、従来のカジノが強かったのだ。
賭け事が、コロナ禍でたまったフラストレーションのはけ口にもなったのだろう。2月14日に行われたスーパーボウルでもスポーツベッティングが好調で、取扱額はコロナ前の18年の183億円を上回る207億円で、こちらもやはり過去最高だった。
となると気になるのが、日本版カジノ実現の最有力で大型投資を打ち出している、アメリカ系カジノ運営会社メジャー「MGMリゾーツ」の状況だ。
「大阪カジノの初期投資は1兆円強で、約半分の5300円億円のうちの8割を共同事業者であるオリックスとMGMが出資するとして、関西財界は大喜びです。そのMGMの業績ですが、こちらは2月10日に21年10〜12月の四半期決算が公表され、前年同期を大きく上回ってやはり好調でした。コロナ禍が去れば市場は上向くのははっきりしていたのですが、ここに来て一気に追い風が吹いているような状況ですね」(同)
ただし、大阪はコロナ危機の真っ只中でカジノの設置も最終結論を得たわけではない。としても、今しばらくの難局を耐え抜けば25年の大阪・関西万博もあって関西が沸くのも明らか。石の上にも3年の粘り勝ちとなるか。
(猫間滋)