ハマの仇をお台場で討つ? 菅首相、横浜カジノ断念で「東京IR誘致」再浮上か

 8月22日に投開票される横浜市長選挙は8人の候補が乱立しているが、国家公安委員長とカジノ推進の旗まで捨てて立候補した小此木八郎・元衆院議員と、カジノ反対派の野党が結束して擁立した山中竹春・元横浜市立大教授の一騎打ちというのがおおよその見方だ。

 菅首相も足元の選挙区で負けるわけにはいかず、かつ、小此木家とは八郎氏の父親の秘書を務めたという因縁もあって小此木全面支援を打ち出しているので、どうやら横浜でのカジノ誘致は諦めたと見てよいだろう。

 では首都圏でのカジノ設置を諦めたかと言えば、どうもそうではないのではないか、という見方が浮上している。一度は「横浜で決まり」ということで鳴りを潜めていた東京案に再びお鉢が回ってきたのではないかというのだ。

「横浜でカジノ反対派の旗頭として山中さんの擁立に動いたのが、江田憲司・立憲民主党代表代行ですが、その江田さんが今年2月に国会で政府に対し、『夏の都議選後に東京都もIR誘致を表明する方向で話が進んでいるという情報を得たが本当か』といった趣旨の質問をしているのです。東京でのカジノ推進派は、足固めが出来るまで表立てるはずはないので、カジノ反対の野党の江田さんにまでこんな情報が伝わったというのは逆に信ぴょう性があると言えるかもしれません」(全国紙記者)

 そして、その都議選が終わって3週後の7月25日、菅首相と小池百合子・東京都知事は官邸で1時間にもわたる会談を行った。当然中身はコロナとオリンピックが中心だろうが、犬猿の仲である2人が長い時間話したということで、カジノの話があったのではとの憶測を呼んだ。

「小此木さんの出馬表明と野党の山中さん擁立が明らかになったのは6月25日のこと。自民党はカジノ推進派で現職の林文子・前市長は既に見限っていたので、カジノ推進で他の候補の擁立に動いたが結局は断念。となればその間1カ月、最終的に”小此木・山中の一騎打ち”で横浜のカジノは断念して、他の候補地という落としどころを探っていたと考えるのは自然でしょう。しかも菅首相が最初に小此木氏の全面支援を打ち出したのは横浜市のタウン誌での誌上対談の場だでしたが、そのタウン誌の発行は29日なので、7月25日はちょうど符丁が合います」(前出・記者)

 さらに東京五輪では2900億円を費やして7つの施設を新設したが、今後黒字化するのは民間に運営を委託する有明アリーナだけで、年間維持費だけで24億円もかかる新国立競技場を筆頭に他の施設はこのままでは赤字を垂れ流すことになる。となれば横浜市同様、財政を安定させてレガシーの継続をとの名目でカジノの誘致に乗り出すという理屈が成り立つ。フジテレビなどの企業グループがフジテレビの本社があるお台場にIRを設置するという計画は、既に17年に都に計画を提出済みだ。

「ハマの仇をお台場で討つ」。菅首相の頭の中ではそんなプランが練られているのかもしれない。

(猫間滋)

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