11月からお目見え「新500円通貨」、券売機・自販機など各社の対応は?

 11月1日から「新500円硬貨」がお目見えした。もちろん既に流通しているものと図柄はほぼ変わりはないが、高度な偽造防止の技術が施されたものなので、2色の金属で出来ていたりギザギザが異なったり、「500」の文字の「00」の内側に「500円」の硬貨では初の透かし彫りが施されるなど、早くも手にした人は人に見せびらかしたい思いに駆られていたりするのではないだろうか。

「今回の新硬貨の発行は、2019年に財務省が新しい紙幣の発行と同時に予定・公表していたものです(紙幣の方は2024年から)。初めて500円玉が登場したのは1982年で、2000年にデザインが変わったことがあるので今回の変更で2回目になります。なぜ新しくするかと言えば偽造通貨の流通が増えていたからです。平成最後の2018、19年頃は年間で50枚以上の偽造通貨が見つかっていて、最近は偽造は減少傾向にありましたが、それでも警察庁の発表によれば去年は11枚の偽造硬貨が見つかっています」(経済ジャーナリスト)

 現在流通しているのが約50億枚で、今年は2億枚を流通させるというから、だいたい25枚に1枚が新しい500円玉になることになるわけだが、いくら新しくなったとはいえ国が発行するお金なんだからどこでも使えると考えているようだったらちょっと注意が必要かもしれない。全国のATM、券売機、自動販売機の全てが新しい500円玉に対応するとは限らないからだ。

 そこでJR東日本とみずほ銀行に尋ねてみたところ、さすがに基幹インフラなだけに、「ATMは全て対応」(みずほ銀行)、「一部の(例えば新幹線のチケットが買えるような)多機能券売機を除いた全ての券売機で対応」(JR東日本)とほぼ対策済みという。ただ自販機の変更はコストも伴うため、事業者の規模によっては対応も遅れているようだ。

「例えば東京のメトロや東急などでは各駅1台の券売機が新500円玉にも対応しますが、それ以外では使えません。さらに関東バスや西武バスは運賃箱、両替機が非対応です。だから新500円玉以外の硬貨を持ち合わせていない場合には、古い硬貨に交換してもらうとか、ひと手間かかることになります。認知や周知が進んでいるようには思えませんので、急いでいる時に券売機にお金を入れても戻って来てイライラするなんてこともあるかもしれませんね」(前出・ジャーナリスト)

 例えばラーメン屋さんの券売機といった小規模事業者の場合は、ほぼほぼ未対応なのが現実ではないかと推測される。事実、システム変更に膨大なコストがかかる上、さらにはコロナ禍も重なったことで、発行時期も今年の上期だった予定が後ろ倒しになった経緯がある。また社会全体でキャッシュレスが進む中、果たしてどの程度新500円玉が使われるかの予想が立たず、敢えて積極的なシステム変更を行わないといった事業者もある。

 デザインの変更はなしというマイナーチェンジだからということもあるが、キャッシュレス化で大きなニュースになっていない側面もあるだろう。いずれにせよ「今でも現金」を貫いている人にとっては少し面倒なことになりそうだ。

(猫間滋)

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