テリー 経済政策と、あとは何ですか。
玉木 デジタル社会の推進です。デジタル庁を作って終わりじゃなくて、ほんとに便利な世の中になったらいいなと。例えば、いちばんできてないのは、医療のデジタル化なんですよ。
テリー へぇ。
玉木 例えば今回、基礎疾患のある人にコロナワクチンの接種券を送ろうとしても、行政にはその情報がなくて、あるのは医療機関なんです。両方の情報をきちんと統合して使えれば、「まず糖尿病の人だけに一斉に送ります」ということができるんです。ほんとに国民が便利さを実感できるデジタル社会にしていきたいんですよね。私はね、「1億総健康社会」がいいなと考えているんです。
テリー というと?
玉木 人が幸せになる、あるいは不幸になる要因は大きく3つあって、「お金」「健康」「人付き合い」なんだそうです。特にお金と健康はあっても、話し相手がいない、遊びに行く人がいないっていう人が、一人暮らしの高齢者に増えてるので。
テリー だから孤独担当大臣をね。
玉木 イギリスには「男の小屋」っていう制度があるんですよ。要はDIYで、日曜大工みたいなことを気軽にやれる場所を全国各地に作って、そこに行くとインストラクターもいて、イスなんかを作れるんです。それをいろんな施設に納入したり。
テリー あ、ただの趣味で終わるんじゃなくてね。
玉木 要はやりがいを見つけたり、友達ができたりっていう、コミュニティを作っていくんですよね。日本でも、そういう新しい社会の結節点を作ることは、けっこう大事だなと思ってるんです。
テリー なるほど。でも僕、ひとつ玉木さんの言ってることは間違ってると思う。僕は孤独のどこが悪いんだって思うんですよ。人付き合いなんてしなくていいんです。
玉木 そうです、そうです。だから、イギリスが政策としているのは「望まない孤独」なんですね。まず、望まない孤独とは何かを定義した上で、孤独を測る指標を統計局に開発させたんです。それで全国調査をして、統計資料を取って、それに基づいて政策的アプローチをしました。
テリー だったら、孤独はダメみたいな印象をなるべく持たれないようにしないとね。
玉木 まさに最初、たくさんご批判をいただきました。
テリー あと、健康はすごくいいと思うんですけど、もう「健康な人は1日3000歩、歩け」と提案するぐらいのね。例えば、「社会奉仕をしましょう」みたいな当たり前の言葉って響かないんです。届くのは、小泉純一郎さんの「自民党をぶっ潰す!」みたいなワンフレーズなんですよ。
玉木 東スポの見出しみたいなね。1行か2行でバーンと。
テリー だから「ひとりでも4時間楽しめる」とか、そのぐらい荒っぽいほうがいいと思う。「我が党はひとりで4時間楽しむ方法を考えてます」って言ったら、「なんだ、それ」ってなるじゃないですか。
玉木 なるほど、そういう発想はなかったな。確かに自民党には言えなさそうですよね。
玉木雄一郎(たまき・ゆういちろう)1969年、香川県生まれ。東京大学法学部卒業後の93年に大蔵省入省。2009年、第45回衆議院議員総選挙に民主党公認で香川2区から立候補し、初当選。その後、民主党政調副会長、民進党幹事長代理などを歴任。18年から旧国民民主党の代表を務めた後、新「国民民主党」の代表に引き続き就任した。早くから旧民主党若手のホープとして知られ、実家は兼業農家で農政通でもある。
*「週刊アサヒ芸能」8月26日号より。(4)につづく