パリ五輪の詳細公表!五輪ロスの中、世界の目はすでに「2024」へ

 8月8日、とかくいろいろあった東京五輪も何とか終了に漕ぎつけ、この日行われた閉会式の後半では小池百合子・東京都知事から次の開催国のフランス・パリ市のアンヌ・イダルゴ市長への引継ぎ式が行われた。小池都知事は水色の色調の和服で、イダルゴ市長は黒に近い濃紺のディオールのドレス。女性首長同志の引継ぎで、女性活躍の次の時代の五輪を感じさせるとの印象を世界中に与えたものだ。

 閉会直後は五輪ロスを嘆く声も上がっていたようだが、人心の移り変わりは早い。特に「つまらない」がSNSで急上昇ワードになった閉会式の中でも、エッフェル塔前のトロカルデ広場に東京から帰国したばかりのメダリストらを含む数千人が集まったパリとの中継映像は、五輪が持つ本来の祝祭ムードに華を添え、人々の期待を誘った。そして東京五輪の聖火が消えるや否や、フランス観光開発機構は早くもパリ大会の詳細を公表。日本人の侘しさはいずこ、世界中の視線は既にパリに注がれつつある。

 そこでまず注目されるのは競技種目だろう。こちらは20年12月に開催されたIOC理事会でもう決まっている。3大会ぶりに復活して日本勢が躍進したソフトボールや野球は落選。東京大会で新種目として加えられた空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンのうち、空手は不採用だ。そしてブレイクダンスの競技種目のブレイキンが加わって、正式な種目は32となる。

「空手に関しては、東京五輪が唯一にして最後の競技採用で終わるのではと関係者の間で不安が広がっています。他の新種目が採用された理由は、マンネリ化した五輪に若者を引き込むため。ところが空手は『形』に出場した21選手の平均年齢は30歳と高齢な上、素人に優劣が分かりにくい。一方、スケボーは4つの金メダルのうち3人が10代と若い。オリンピックの商業主義化はたびたび批判にさらされますが、一方でエンターテインメント性や若者受けに傾斜している事実も知っておくべきでしょう」(週刊誌記者)

 これまでの大会と大きく異なるのが会場だ。いわゆるスポーツ会場に留まらず、パリのランドマークがそのまま会場となるからだ。エッフェル塔の前でビーチバレーが行われ、コンコルド広場ではBMXフリースタイルが繰り広げられる。廃兵院の歴史的建物があるアンヴァリッドでアーチェリーが競われたかと思えば、ヴェルサイユ宮殿では馬術が行われる。セーリングがパリを離れたマルセイユで開催されたかと思えば、サーフィンはなんとパリから1万5700キロも離れたフランス領ポリネシアのタヒチで行われる。さらには開幕式はセーヌ川で行われるという新しさ。

「パリ大会の理念である、共有とサスティナビリティの実現ということでの市街での開催と分散開催というわけですが、見方を変えれば新たな施設を建設しない低予算とコストを複数の都市に分散させるということ。近年莫大化したオリパラ開催費用に世界中の都市は消極的で、招致熱は冷え込むばかり。若者競技への門戸開放もそうですが、分散開催もIOCが19年に憲章を改めて認めざるを得なかったという背景があります」(前出・記者)

 パリでの開催は1900年、1924年に次いで3度目の開催となる。3度開催するのはロンドン(1908年、1984年、2012年)と並んで2番目。19年に発表された大会ロゴは、金メダルの中に唇を持った炎が揺らめくデザインで、これは金メダルと炎、そしてフランス革命を象徴するマリアンヌを象ったものだという。ドラクロワの有名な絵画「民衆を導く自由の女神」で描かれたあの自由の女神のモデルとなった女性像だ。これはオリパラ共通で初めてのこと。

 初めてで言えば、共有の理念の下、マラソンと自転車ロードレースは五輪レースと一般の人も走れるパブリックバージョンの併存が導入される。歴史的な記念となるとあって、これを機にパリ大会を目標に走り始める日本人ランナーが沢山生まれそうだ。

(猫間滋)

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