アジア人のいない東京五輪バービー人形に「どうせバッハがOK出したんでしょ」の怒号

 BLM運動で世界中がアフリカ系の人たちに対する扱いにデリケートになり、改善しようという動きが現在進行形で出ていることは素晴らしいが、コロナ禍の欧米において、それに近い、いや、それ以上の問題となっているのがアジア人差別。なのに、こちらは多くの人たちが泣き寝入りしているのが実情だ。アジア系アスリートが訴えてもなかなか拡散されないのだとか。

 そんな状況下で行われた東京五輪。無観客という異例の開催となったが、日本人ボランティアのおもてなしが絶賛されるなど、イメージ向上には大いに役に立った…と思いたいところ。ところが閉会直後、やっぱり「アジアは見下されたままじゃん」と失望と怒りの声を生んでしまう事態が発生した。

「アメリカに本社を置く世界最大規模の玩具メーカー『マテル』が製作した、東京2020大会記念の『オリンピックバービー』にアジア系のバービー人形が含まれていないことを韓国のメディアが取り上げ、あっという間に批判の的になったんです。写真を見るかぎり、金メダルを掲げた5人のバービーの中心は今の時代らしくアフリカ系の美女。そして周囲に白人、中米系、ヒスパニック系など、アジア人から見ると『いかにも外国人』というルックスが並んでいます。でも残念ながら、せっかくの東京五輪の記念人形なのに、その中にひと目でアジアを想起させる顔はありません。これに韓国のメディアが噛みついたんです」(エンタメ誌ライター)

 その騒動をCNNが「多数の消費者がアジア系バービー人形を製造しないことを疑問に思っている」と報道したことで、ネット上で批判を受けたマテル社は「不十分だった」と謝罪。「スケートボーダーの人形でアジア系コミュニティを含めようとする私たちの意図は不十分だったと思います。寄せられたご意見を真摯に受け止めます」と説明。ネット民から「見ようによってはかろうじてアジア系に見える」と言われた、眉毛太めでブラウンヘアのスケボー・バービーも、「ここまで微妙だと何か意図を感じる」「なんでアジアだけそういう扱いなの?」と批判が。さらには「東京五輪なら黒人じゃなくてアジアの子が真ん中でもいいはずなのに。アジアを完全に見下してるね」「どうせバッハ会長でこれでOK出したんでしょ」とかなり怒りに満ちた声も。

「日本にいると分かりづらいですが、欧米に住んでいる人たちが体感しているアジア差別は本当に切実です。だからこそ余計に東京開催なのにアジア人を脇役扱いしたバービー人形に批判が集まったんでしょう。中には『だからといって細いつり目のバービーなんか売れそうにないけど』と、アジア人差別で常に問題になる容姿の特徴をついた自虐コメントもありましたけど」(前出・エンタメ誌ライター)

 ちょっと過敏といえば過敏。なんとなく寂しいといえば寂しい。この問題をどう感じるかは人それぞれかも。

(塚田ちひろ)

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