「キッチンカー」開業にいくら必要なのか/山中伊知郎「あなたの知らない“原価”の世界」

【今回のお値段「キッチンカー」:1日のスペース使用料1万~1万5000円(初期の投資額100万~500万円)】

 かつてお祭りの縁日や様々なイベントでも主流だった屋台が減少。それに代わって、よく目にするのがキッチンカーだ。ピザ、ケバブからラーメン、カレー、ステーキ、丼物、さらにはメロンパンに至るまで、実に様々なメニューを提供する車がそろっている。ある業界関係者によれば、

「もともと巨大なロックフェスで目立ってましたね。まわりに食べ物屋がないと、1日1000食売れたり。そのうち『ランチ難民』をターゲットにオフィス街に進出するようになって、安定した売り上げが見込めるようになったんです」

「ランチ難民」問題は、特に東京をはじめとした都心部で深刻だ。

 では、実際にキッチンカーを開業すると、どれほどの資金が必要なのか。まずは車だが、中古の軽トラから始める人が多い。これならせいぜい100万~200万円。

 あとは改造費だが、これは車内で調理するか、すでに出来上がったものを運んで売るかで変わってくる。調理するなら、冷蔵庫、電子レンジ、フライヤーなど、それなりにそろえる必要がある。100万~300万円くらいだろうか。

 さらにはランニングコストの食材費や移動のガソリン代だが、大切なのが出店スぺース料だ。イベント会場でも、運営側に1日1万~2万円払うのは普通で、オフィスビル街での営業でも、地域を仕切る「運営会社」に一定の出店料を払うのが常識だ。

 この「運営会社」、大きなオフィスビルが作られる情報を得ると、そのビルのオーナー会社と交渉して、ビル前広場や駐車場などでのキッチンカーの配置を請け負う。で、販売を希望するキッチンカーと契約して、例えば1台1日1万~1万5000円程度のスペース料を徴収してオーナー会社と折半する。同じメニューでお客が飽きないように、キッチンカーのローテーションを決めて日替わりにするのも「運営会社」の役割だ。

「たとえ運営会社に1万円のスペース料を払っても、クレープなどの粉モノなら材料原価20%以下、ホットドッグでも輸入ポークに野菜やパンまで入れても20~30%。単価500円でも150食出れば、確実に利益は出ます。ただしあくまでもワンオペの場合。従業員を雇ったら、最低1日10万円くらいの売り上げがないとキツいでしょう」(前出・業界関係者)

 当面、オフィスビル街での販売は好調で、キッチンカー業者としては、どの「運営会社」と組めるかで大きく収益が左右される状況らしい。

山中伊知郎(やまなか・いちろう)改めて、お笑いライブの告知を。7月15日(火)に「ちょっと昭和なヤングたち昭和100年100回記念スペシャル」を開催。昭和の香り漂うお笑い芸人大集結で、スペシャルゲストに関根勤、ブッチャーブラザーズも。前売り券はイープラスで発売中。

マネー