ここ数年、白ナンバーを付けた軽自動車をよく目にするようになった。ところが、この「軽の白ナンバー」が9月30日を最後に申し込みが打ち切られ、交付が終了。以降はもとの黄色いナンバープレートに戻る事態をめぐり、賛否の声が上がっている。
自動車ジャーナリストが解説する。
「軽自動車に白ナンバーの搭載が始まったのは、2017年4月からで、『ラグビーワールドカップ2019特別仕様ナンバープレート』としてスタートし、同年10月にはそれに『東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会特別仕様ナンバープレート』が加わりました。それぞれのナンバーには、白地に大きく図柄が入ったものと、図柄なしで右上に大会エンブレムが入ったものがあり、軽自動車用でも取得可能になったんです」
これらのナンバープレートは、大会の記念ならび、大会を盛り上げることを目的に導入されたが、すでにラグビーナンバーの交付は終了。現在も取得可能なオリンピックナンバーは地域によって料金は異なるが、だいたい7500円から1万円前後で取得できる。
「低価格とあって、ラグビーナンバー、オリパラナンバーともに申し込みが殺到。なかでもダントツ人気なのが『自家用軽自動車用の図柄なし』、つまり『軽の白ナンバー』で、それだけで、全体の8割以上を占めるほどだといわれます。人気の背景には『黄色いナンバーに対する抵抗意識』があるようで、某マーケティング会社が実施した『なぜ、軽自動車を選ばなかったのか?』アンケートでも、その理由を『黄色いナンバーが嫌だから』とするドライバーが4割以上もいる、という結果が出ています、つまり、現在でも黄色いナンバーに抵抗感を持っている人が、それほど多いということです」(前出のジャーナリスト)
そもそも、軽自動車に黄色いナンバーが使用されているのは、小型車と普通車とを区別するためだが、
「以前は、小型車と普通車で高速道路での制限速度が違っていたため、ナンバーを色分けする必要がありましたが、現在はその括りもなくなり、ETCの普及にともない料金所で支払う人も減少、ナンバーの色分けをする意味が薄れつつあります。そんなこともあり、いまさら黄色と白色の区別が必要なのか、という議論は以前から幾度となくあったことは事実。だからこそ『オリパラナンバー』人気で新たな展開を期待する声も多かったようです」(前出のジャーナリスト)
「オリパラナンバー」は、新型コロナの影響で大会が1年延期になり、交付期間が延長。しかし結局、パラリンピック終了後の9月30日をもって申し込みが打ち切られることが決定。結果、SNS上には《このまま、軽が白ナンバーに代わると思っていたのでガックリ!》《高速以外に黄色いナンバーと白ナンバーを区別する必要は?もう全車白ナンバーに変更してもいいんじゃない》という声が散見されたが、一方では《そもそも「軽」なのに「軽」と見られるのがイヤと言う事の方が恥ずかしい。「軽」には「軽」の良さ(経済性や取り回し、道具としてのパフォーマンスの高さ)があるので、「軽」である事をアピールしたいくらい……》《軽で白を使う事が異常だろ?軽は黄色ナンバーでいいじゃない。その方が軽だと認識しやすいので》といった従来の「黄色いナンバー」を支持する声も多く、《黄色いナンバーが嫌な人は普通車に乗ればいいじゃない。今なら軽自動車より安いコンパクトカーたくさんありますよ》といった意見も。
なお、オリパラナンバーに代わり、来年4月頃から交付される予定の「全国版図柄入りナンバー」は、軽自動車用には黄枠が施され、さらに判別しやすくするため、色枠の左上に塗色が追加されるとのことだ。
(灯倫太郎)