ラグビーW杯を「100倍楽しむ」入門講座(1)把握すべき最低限のルール

 いよいよ9月20日に開幕するラグビーワールドカップ。日本開催ということもあり、ジャパンに対するメダル期待値は高まるばかり。だが、肝心の知識が全くなしという初心者も少なくないだろう。そこで、専門家による解説で、一気にラグビー知識を蓄えよう!

 開幕初戦の9月20日、ジャパン代表は、ロシアと対戦。過去最高のベスト8入りを目指すだけに、絶対落とせない一戦だ。スポーツ紙ラグビー担当記者が話す。

「ロシア代表は8月27日、格下のイングランド2部リーグのジャージーと練習試合を行い、22対35で敗れたばかり。予選となるプールAで、ロシアは世界ランキング20位(日本は同9位)で、グループ内で最も格下にあたるため、初戦での勝ち方しだいでは格上のアイルランド(同4位)やスコットランド(同8位)の撃破も十分可能です」

 プールAを突破するには、2位以内が絶対条件。それだけに、新日鉄釜石の日本選手権7連覇の立て役者で元日本代表の松尾雄治氏は、予選プール突破には、第4戦のスコットランド戦(10月13日)がカギになると語る。

「ジャパンはスコットランドに勝てなければ、準々決勝に進出しても他のチームには勝てない。予選プール第2戦でのアイルランド戦(9月28日)も難しい戦いになると思うので、見る側もそこを意識して応援してほしいですね」

 自国開催で思わず力んでしまいがちだが、ふと我に返ると、ラグビーについてのルールをイマイチ把握していない読者も少なくないだろう。そこでにわかファンを代表して、スポーツ音痴の記者が、スポーツジャーナリストの玉木正之氏に尋ねると、

「昔はサッカーやバスケより人気があって、正月には日本選手権を晴れ着で見に行く人も多かったんです。しかしサッカーなどと違って、視覚的にルールがわかりづらいと思っている人も多いと思います。ラグビーのルールは簡単に言えば、『ボールより選手が前に出てはいけないゲーム』。ただ、それだけなんです。つまりボールを持った選手が前に進んで行くのだけど、パスは後ろにいる選手に回さなければならない。それさえ理解しておけば、誰でも観戦を楽しめるスポーツです」

 だが例外もある。相手チームの選手が迫ってくると、ボールを持った選手がたまらず前方にキックすることもあるが‥‥。

「前にキックをしても、キックした選手より後ろにいる選手がボールを捕らなければならない。そうやって、前へ前へとどんどん陣地を取っていくんです。ルールというのは、突き詰めればキリがない。見る側は、最低限のルールさえ把握していればいいんです」

 つまり、ラグビーはボールを使った「陣取りゲーム」ということもできるのだ。

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