SNSから個人情報を割り出す「特定屋」が増殖中!驚愕の被害実態とは

 アイドルがSNSに掲載した写真や動画から住所を特定し、待ち伏せして押しかけるという事件が起こったのは昨年のことだが、コロナ禍で自宅生活が強いられる中、自宅内で撮影した動画をSNS上にアップし、ストーカーまがいの被害を受ける人が急増しているという。

 都内に住むA子さん(28)のインスタグラムとツイッターのアカウントに、突然身に覚えのないダイレクトメールが送られてきたのは3カ月ほど前のことだった。

「昨年から仕事がテレワークになったので、空き時間を利用して『簡単料理』をテーマに動画をアップし始めたのですが、しばらくすると、身に覚えのないダイレクトメールが届くようになって。気味が悪いとは思ったものの、そのまま放置しておくと、メールの内容がどんどんエスカレートしてきて、ついには、ホテルに行きましょうと…」(A子さん)

 ある日のこと。友人と会食した帰りに自宅近くのコンビニに立ち寄ると、突然男から「遅かったですね。ずっとお待ちしていたんですよ。いつもメールしている××です」と声を掛けられ、恐ろしくなり、その足で警察署に駆け込んだという。

 ネット犯罪について詳しいジャーナリストが語る。

「実は、コロナ禍になって以来、A子さん同様の被害が急増していて、その背景にあるのが『特定屋』と呼ばれる輩の存在です。彼らはSNS上に『住所割り出します』『住所特定代行』といったアカウントで、依頼者を募集。ターゲットがSNSにアップした写真や動画などから、氏名や住所、電話番号などを割り出す、というものですが、定価が1件当たり1000円から1万円程度と安価なこともあり、今年に入り急速にニーズが拡大しているんです。というのも、『特定屋』は大半がその道のプロではなく、趣味が高じて、あるいは、暇つぶしにというケースが多く、私が取材した21歳の大学生も、自身の画像分析力によって個人情報の割り出しが見事に成功した時の高揚感は、他では得られないものがある。その快感が病みつきになって辞められない、と言っていました」

 特定屋への依頼者は老若男女問わず、依頼内容も「元交際相手の居場所を知りたい」から「お金を貸した相手に逃げられたので、なんとか取り返したい」といったものまで千差万別で、「人助けになって金がもらえるなら」と考えるケースも少なくないという。彼らは画像に記録された位置情報をベースに写り込んだ風景や、物を手掛かりに場所を絞り込んでいくが、

「例えば、飲食店の画像なら料理や食器、あるいは壁紙の特徴をもとにグルメサイトなどで検索し、店を割り出す。また、マンホールも自治体によりデザインが違うので重要な手掛かりになるようです」(前出のジャーナリスト)

 さらには、動画の中で「夕方は雨がすごかった」などと、局地的な天気の情報をコメントしたことで、大まかな地域の特定されたり、地震の話、電車の遅延情報など、断片的な情報を重ね合わせ、徐々に個人情報の特定が可能になるという。

 とはいえ、仮に「人助け」という意識があるにせよ、『特定屋』という行為に違法性はないのだろうか?

「ネックは、彼らが個人情報を集めているのが、誰もが自由にアクセスできるネット上であるということ。そのため、その情報がストーカーなどの犯罪に悪用されたとしても、現行法で直ちに取り締まることは難しいんです。悪用されると分かっていて依頼を受けた場合は、犯罪のほう助に問われる可能性がありますが、ま、現状では野放しの状態と言っていいでしょうね」(前出のジャーナリスト)

 スマートフォンの画像向上により、逆に情報が読み取られ、居場所などが特定されやすくなった今、結局、リスク回避のためには利用者側が意識を変えるしかないということか。

(灯倫太郎)

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