千葉真一、なかにし礼、坂本龍馬…フリーメイソンに魅せられた日本人たち

 世にも奇妙な存在でありながら、なぜか妖しい魅力を放つのが「秘密結社」という闇の組織だ。なかでも最もメジャーな存在として知られる「フリーメイソン」に魅せられた日本人は少なくない。幕末から現在の令和まで、「友愛」の歴史に名を連ねた大物たちを並べると‥‥。

 自由・平等・友愛・寛容・人道、5つの基本理念からなるフリーメイソン。日本には1779年にオランダ人のイサーク・ティチングによって、もたらされた。

 それから数十年後のこと。坂本龍馬は下級武士でありながら、幕末を疾走する。生きて明治維新を見ることはなかったが、その立役者として知られている。この活躍の裏にフリーメイソンの存在が‥‥。

 龍馬はスコットランド出身の武器商人であるトーマス・グラバーと懇意にしていた。グラバーはフリーメイソンとして日本のクーデターである「倒幕」をもくろんでいた。そのため、龍馬を巻き込んで薩摩と長州の手を結ばせ、400年続いた江戸幕府を終幕に導いたとされている。

 龍馬自身がフリーメイソンであったかは諸説あるが、結果的に組織の思惑のままに進んだことになる。

 皇族であった東久邇宮稔彦王は、終戦から2日後の1945年8月17日に「終戦処理内閣」で総理大臣の任についている。

「占領下、GHQの内政干渉に抵抗し、歴代最短の54日で政権を終えました。さらに47年には皇籍を離れ、50年には新興宗教『ひがしくに教』を開教。ただし、東京都で宗教法人の認可が下りなかったため、ほどなく解散。それと同時にフリーメイソンに入会しました」(皇室ジャーナリスト)

 兄弟愛の真の意味を学ぶことが入会の目的で、57年にはマスターメイソンに昇級。また90年に102歳で逝去したが、世界の首相経験者として最長寿で、ギネスにも登録されたほど。

 吉田茂と政権を争った鳩山一郎は、公職追放の身であった1951年3月29日に入会したとの記録が残っている。

「54年12月に第52代の総理大臣となった鳩山は、フリーメイソンの旗印である『友愛の精神』を掲げています。53年には『友愛青年同志会』を設立し、55年にはマスターメイソンに昇級。このことは国内だけでなく、海外にも大きく報じられました」(政治部記者)

 その孫である鳩山由紀夫・邦夫の兄弟は、96年に「民主党」を結成する。祖父と同じく「友愛の精神」をアピールしたのは記憶に新しいが、厳密に入会していたのか定かではない。ただし、邦夫夫人の父親はメイソンであったという。

 ほかにもNHKの初代総裁となった後藤新平、衆議院議長も務めた星島二郎、ピューリッツァー賞に輝いた戦場カメラマンの沢田教一など、日本のフリーメイソンは多士済々。

 近年では格闘家からダンスパフォーマンス集団の主宰、さらに参議院議員として活動する須藤元気の名前が挙がる。武道館公演も開催したパフォーマンス集団が「WORLD ORDER」(世界秩序)であったため、陰謀論でたびたび出てくる「NEW WORLD ORDER」(新世界秩序)と符合したようだ。

 また多くのヒット曲を生み出し、昨年12月23日に亡くなった作詞家のなかにし礼は「フリーメイソンを理解しないとモーツァルトはわからない」として入会。著書「三拍子の魔力」(毎日新聞社)の中でも赤裸々に述べている。さる文壇関係者が明かす。

「なかにし氏は00年に小説家として『長崎ぶらぶら節』で直木賞を受賞しました。当時、交流のあったジャーナリストが入会にあたり相談を受けていたが、『入会したとたんに直木賞を受賞してびっくりした』と言っていたそうです」

 そして今年1月、「週刊文春」で大物の名前が取りざたされた。俳優の千葉真一が入会を直訴し、認められたというのである。芸能ライターが明かす。

「たび重なる借金報道などで入会を疑問視する会員もいましたが、昨年12月17日に文化庁長官から表彰を受けた。このことが状況を改善し、12月26日に『参入の儀礼』を行ったようです」

 組織の規律である「秘密」は守れるのだろうか。

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