千葉真一さん「追悼プロジェクト第1弾」開催 主催者が明かす“プロ並みだった絵画”を始めた意外な理由

 人は忘れやすいもので、数年前にあったコロナ禍も、世界的に人類が大きな痛手を被っただけにあの痛みはそうそう忘れ去ることは出来ないものの、それでもやはりずいぶん前のことのように思えたりする。

 さてそのコロナ禍では、我々日本人は芸能界における2人の傑物を失った。1人は不世出の喜劇人である志村けんさんで、もう1人は日本におけるアクションを確立、牽引した千葉真一さんだ。

 その千葉さんが82歳にして亡くなったのが、2021年8月19日。そこで約3周忌に当たる8月26日、「千葉真一追悼プロジェクト第1弾」と銘打ち、千葉真一追悼歌集のCD「武士乃道・千葉真一」がリリースされるのに合わせ、ディナーショーが都内で開催された。主催の「追悼プロジェクト実行委員会」委員長の本田實恵子さんは言う。

「プロジェクトは委員長の私を含め、生前の千葉さんに所縁のあった有志や、千葉さんが創設したジャパンアクションクラブの教え子の方々の協力の下で結成されました。今後の活動としては、来年の命日の8月19日に、千葉さんがオリンピックの体操で日の丸を掲げたいという大志を抱いて進学した日本体育大学に記念碑を建立することが決定しています。また千葉さんは『花は桜木、人は武士』という言葉をモットーにしていたことから、桜の木の植樹をする予定です。ディナーショーはプロジェクト始動を記念して行ったものです」

 そのディナーショーでは、宝塚歌劇団・元月組のトップスターだった古城都さんが歌う「アクションスター」や、元光GENJIの大沢樹生さんの「さらば戦士よヒーローよ」など、アクションスターの千葉さんの追悼ならではの歌が披露された。いずれも生前の千葉さんに所縁のあった面々だ。

 その中でも出色だったのが、喜劇役者の大村崑さんが、92歳にして歌手デビューを果たし、その歌の「人生百年時代がやってきた」を披露したことか。大村さんと言えば90歳を超えてRIZAPで肉体改造を行い、同社のテレビCMに出演したことで話題となったが、当日もスクワットを披露して見せた。

 ところで晩年の千葉さんと言えば、西洋絵画を好んで描いていたことはあまり知られていない。

「千葉さんが油絵を描くようになったのは約3年ほど前から。さすがにスターだけあってそちらの才能も抜群で、豪快な絵は本物の芸術家さながらの腕前でした」(前出・本田氏)

 そして千葉さんと油絵と言えば、次男で俳優の眞栄田郷敦が画学生として登場、東京芸術大学を目指す青春芸術家映画の「ブルーピリオド」での演技が、単なる演技を超えて真に迫っていると高評価を得ているところ。本田さんに言わせると、晩年の千葉さんが絵画に目覚めたことと、この「ブルーピリオド」は無縁ではないという。

「千葉さんが絵を描き始めるようになったのは、郷敦の学生時代の友達でとても見事な細密画を描く子がいて、それを見て触発されたからなんです。つまり千葉さん、郷敦の中にあるアーティストの素養がそれぞれ異なった形で共鳴しているのだと、私はそう思います」(前出・本田氏)

 その千葉さん亡き後、絵画や未発表の映画シナリオが多数残されているという。日本で唯一無二の才能が遺したものだけに、いつかこちらが日の目を見ることも期待したい。

(猫間滋)

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