世界で最もメジャーな秘密結社といえば「フリーメイソン」ではないだろうか。謎めいた存在ゆえ、都市伝説の語り部が「世界を牛耳る真の支配者」などとたびたび話題にしているが、その実態とは─。かねてからフリーメイソンメンバーを公言している「高須クリニック」の高須克弥院長を直撃した。
─まず単刀直入に、メディアでメンバーであることをしゃべっていますが、大丈夫なんでしょうか。
高須 厳密には「しゃべっちゃいけないこと」はしゃべっていないんですよ。掟を破ると裁判にかけられるからね。ヤクザだって組の掟を破るとケジメをつけるでしょ。
「エンコ(指詰め)だけで堪忍したる!」
とかね。そういうことを決める裁判があるの。今、僕は京都御門ロッジ(支部)のトップになったから裁判官になれる立場で、絶対に大丈夫だけどね。
ただ、パートナーの西原理恵子(漫画家)は秘密をべらべらしゃべっているけど、彼女は「カタギ」だから裁判にはかけられないの。
─メイソンの裁判ですか。
高須 もちろん詳しい内容は秘密だよ。
─そもそも先生は13年に入会されたんですよね。
高須 本当はもっと前から入るつもりだったけど、忙しくてね。なにせ入会試験が難解で、日本国憲法のような難しい条文を暗記して、それをヘブライ語か、直訳した英語か日本語でそらんじなきゃいけないの。家で一生懸命に条文を唱えて暗記をしていたら、それを隣で聞いていた西原がマンガに描いていましたよ。
でもね、それをバラしてしまうと、これから試験を受ける人にとってカンニングになってしまうからさ。何百年と続いている伝統的な試験だから、漏れたらダメなんだよ。
─どのくらい勉強されたんですか。
高須 1カ月間、朝から晩まで。しかも入会時だけじゃなくて、階級が上がるたびに試験があるから。舎弟、幹部、組長、直参と、そのたびに試験がある。
─さっきからヤクザ用語が多いですが‥‥。
高須 アサ芸読者にわかりやすいでしょ(笑)。ちなみに僕は今、直参トップみたいな立場。でも本当にヤクザ組織と似ているよ。
例えば、フリーメイソン自体の活動内容や儀式の内容については秘密だけど、「企業舎弟」のような存在はあって、そっちはオープンなんです。孤児や難病患者を救う病院を運営する外部組織があるとか、ボーイスカウトもそうだね。
─秘密が多いとはいえ、数年前は公式ムック本が発売され、「日本初」を謳う公式グッズが販売されていましたよね。
高須 そうだねえ。当時、内部資金を稼ぐためにいろいろアイデアを出した人がいて、火種になっちゃって。偉い立場の人だったけど、仲間内から非難を浴びた。銃器で弾かれてはいないけれど、名簿の上から弾かれちゃったね。
ああ、秘密をしゃべっちゃった。僕もこれで、波打ち際の砂の中に顔だけ出して埋められる立場になりましたよ。
─そんな! 物騒なことを言わないでください。でもそこまで厳しい理由は、16世紀後半が起源とされている「脈々と続く伝統」を守るためでしょうか。
高須 もちろん。医者だって、患者の情報をべらべらとしゃべる人は医師会から追放されなきゃいけないのと同じように、どの世界もオープンにしないのが「筋」ですよ。アサ芸読者になら「筋」の一言で伝わるはずですよね。
─はい(笑)。でもやっぱり謎だらけでした!
※「週刊アサヒ芸能」3月18日号より