「こんなだからいつまでたっても人種差別発言がなくならないんだ!」と多くの善良なサッカーファンから失望と怒りの声が漏れている。
サッカーのフランスリーグ、パリサンジェルマン(パリSG)に所属するブラジル代表のFWネイマール選手が、9月13日の試合でマルセイユのDFアルバロ・ゴンザレスに対してLGBTを侮辱するような暴言が吐かれたという疑いが話題となっていた。合計で5人が退場した大荒れの試合だったことで、ネイマールには出場停止処分が下される可能性が高いとメディアも指摘。俄然注目を浴びていたが、結果は「お咎めなし」。
というのは、ゴンザレス本人や周囲は否定したものの、試合中にネイマールもゴンザレスから人種差別発言を受けたと主張、ネイマールが侮辱発言をした証拠もないことから、フランス・プロリーグ機構(LEP)から“無罪裁定”が下されたという。でも、騒動の終結宣言が拡散されると、日本のファンから一斉に非難の声が…。
「ゴンザレス選手とネイマール選手の件はひょっとしたらケンカ両成敗の可能性もあります。しかし、それ以上に問題だと言う人も多かったのが、ネイマール選手がマルセイユのDF酒井宏樹選手を『クソ中国人』と罵ったこと。これはビデオでもはっきり発言していることがわかりますから、中国のメディアが『もっと日本人も怒るべき』と煽るほどの問題になっていた…はずでした。ところが、LEPは酒井選手の件にはなんと一言も触れずスルー。まるでなかったことのようになっています。酒井選手はあえて抗議をしなかったことで男を上げた感じもありますが、これではまるで泣き寝入り。ファンの怒りは収まりません」(スポーツ誌ライター)
差別が多いとされるフランスのお国柄か、イングランドのプレミアリーグ所属の韓国代表ソン・フンミン選手が人種差別発言を受けることも多いように、やっぱり欧州全体でアジア人差別は放置されているのか。はっきりした理由はわからないけれど、そんなことはサッカーファンには関係ない。「20試合も出場停止というウワサもあったのにどゆこと?」「ネイマールを出場停止にすると収入減になるから金を取っただけだろ」「フランスサッカーではクソ中国人はOKワード」「パリは差別の温床」「酒井選手が可哀想。今からでも訴えてほしい」「あーあ、LEPはやっちまった」「ここまで差別に甘いスポーツってサッカーだけじゃない?」と、容赦ない怒りコメントで沸騰状態に。
野球にせよ、ラグビーにせよ、バスケットボールにせよ、試合前に差別をなくそうというセレモニーを行っているプロスポーツは多い。でも、サッカーは世界でいちばん人気のあるスポーツだけに、常に人種差別問題が浮上しがち。全部は食い止められなくても、今回のようなリアルな事態が起こったときぐらいは厳しく対処してほしい。それが一部の暴徒的ファン以外の切な願いかも。
(飯野さつき)