フランスのマルセイユに所属するサッカー日本代表DF酒井宏樹が10月2日に自身のインスタグラムアカウントを更新し、パリSGのブラジル代表FWネイマールからの差別的発言に対し寛容な姿勢を示している。
酒井は9月13日開催の国内リーグ第3節・パリSGとの一戦において、マッチアップしたネイマールから試合中に「クソみたいな中国人」との差別的発言を浴びせられたと報じられた。
その後、スペインメディア「El Larguero」が“証拠映像“として、ネイマールから酒井へ「Chino de mierda(クソ中国人)」なるワードが発せられる瞬間の動画が公開されるなど、欧州を舞台に報道が過熱。しかし、フランスのプロリーグ機構はネイマールが差別的発言を浴びせた決定的な証拠が存在しないとして、長期の出場停止処分を科さないと発表した。
そうした状況の中、酒井本人が2日にインスタグラムを更新。「この2週間、中々サッカーに集中できる環境ではありませんでした」と綴り、ネイマール含め、試合中に暴言を吐いた選手への追加処分がなかったことに安堵したと語った。
続けて、「今回の件に関してですがもし仮に何か言われたとしてもお互い熱くなっている試合中の些細な出来事であり差別とは全く関係ありません。もう全て終わった事であり今回はマルセイユが勝ったというだけの事です」とし、激戦でテンションが高まった中での発言に差別的意図はないとの見解を示している。
「この酒井の“寛容なコメント“は完全に賛否が分かれることになりました。もちろん、酒井からすれば、こうしたネガティブな話題が続くことに辟易しているのでしょうが、ネイマールの発言の内容が内容だけに、より強固な姿勢を見せるべきだという声も出ています。『本人は大人の対応したつもりなんだろうけど、この対応は間違ってる』『あなたが良くても声を上げないと他の日本人が差別される』『日本人的には当たり前の対応でも、外国人からすると舐められる対応だな』などと、酒井の“事なかれ主義“に対する疑問の声が集中。単純にサッカーに専念したいとの想いも理解できますが、怒るべきシーンで寛容な姿勢を示していてはさらなる差別的発言を助長してしまう可能性もありますからね」(スポーツライター)
なお、間接的に侮辱された格好の中国でも、メディアやサポーターを中心に今回のネイマールの発言に反応しており、《なぜ当の酒井は怒らない?》との指摘も出ている。
仏の精神を見せた酒井だが、この対応が正解だったかどうかは多方面から疑問視されているのが実情のようだ。
(木村慎吾)