巨人と楽天の間で緊急トレードが成立した。今季のトレード期限は9月末。両球団の間で成立した3件目の移籍劇は、29日成立という駆け込みトレードとなった。
二軍でくすぶっていた田中貴也捕手を交換要員ナシで放出に踏み切ったのは、逆転優勝をまだ諦めていない楽天イーグルスに対する原巨人のエールでもあったようだ。
「過去2件のトレードが巨人にとってプラスになったのも、交換要員ナシのトレードに繋がったと思われます。楽天から獲得したウィーラー、高梨が戦力になっていますから」(スポーツ紙記者)
今回のトレード成立で楽天とのホットラインがクローズアップされたようだが、田中放出と聞いて、“珍事”も思い出された。
「9月に入って、巨人を去ることになった澤村拓一と田中には『共通点』があります」(球界関係者)
両選手とも、試合中に頭をポカンと小突かれたことがあるのだ。2012年日本シリーズ第2戦で、サインミスをした澤村が阿部慎之助捕手(当時)に頭を叩かれている。全国ネットでのテレビ放送中ということでかなり有名になったが、田中も試合中にヤラレていた。
17年9月4日のファーム戦、田中も森福充彦投手(当時)にグラブで頭を小突かれている。当時を知る関係者によれば、「配球のサインが合わず、田中も試合前の打ち合わせを失念していた」とのことで、暴力的な意味はない。しかし、こんな声も聞かれた。
「田中は菅野も一目を置く勉強熱心な捕手です。森福に試合中に叱られたことで、配球の勉強にも熱が入るようになりました」(前出・球界関係者)
楽天は正捕手の座を掴みかけていた太田光が9月26日に故障。捕手最年長の足立祐一も頑張っていたが、下半身のコンディション不良で登録を抹消されている。堀内、石原、下妻らもいるが、楽天は「10月の最終決戦を田中に」と大きな期待を寄せていた。
先輩や上司に叱られるということは期待の裏返しでもある。澤村も千葉ロッテで復活しただけに、田中も「あのとき、ポカンとやられて良かった」と思う日がくるかもしれない。
(スポーツライター・飯山満)