焼肉チェーン「牛角」や回転寿司チェーン「かっぱ寿司」などを傘下に持つコロワイドは7月9日、定食チェーン「大戸屋」を運営する大戸屋ホールディングス（HD）に対し株式公開買い付け（TOB）を実施して子会社化を目指すことを発表したが、コロワイドと大戸屋、双方の株主から「やめてくれ！」との声が相次いでいる。
「すでに大戸屋HDの株式約19%を保有する大株主のコロワイドは、6月25日の大戸屋HDの株主総会で、経営陣の刷新とセントラルキッチンの導入を求める採決をとったものの、個人株主らの反発を受け否決されたため、敵対的TOBによって実力行使に出たと見られています。これに対して大戸屋HDは、『当社に対して何ら事前の連絡もなく、一方的かつ突然に行われたもので（中略）当社として誠に遺憾』とのコメントを発表しています」（飲食業界関係者）
なお、コロワイドは大戸屋HD株を一株3081円で買い付け、最大で51.32%の保有を目指すとしており、買い付け代金は上限で72億円程度になる。買い付け期間は7月10日から8月25日までだという。
「大戸屋の株主はセントラルキッチンでの調理ではなく、現体制の店舗ごとでの調理を望んで株主総会でコロワイドの提案を否決したわけですから、TOBに反対なのは当然の話です。ただ、コロワイドも2020年3月期の連結決算で上場以来初となる約64億円（最終損益）の赤字に転落。傘下のかっぱ寿司では7期連続で減収が続いており、また新型コロナウイルスの影響がしばらく続きそうな中で、《これ以上買収するよりも自分のところの店をなんとかしろよ》《あれだけ赤字出しといて、また赤字の大戸屋を買収する意味がわからない》など、一部株主からは厳しい意見も出ています」（経済ジャーナリスト）
今回の敵対的買収で共倒れとならないことを祈りたい。
（小林洋三）
