タイに日本の飲食チェーンが出店ラッシュ!「日本より儲かる」裏事情

 近年、飲食チェーンの海外進出が盛んだ。日本国内の人口が減少に転じたことに加え、最近は仕入れコストや人件費の高騰、同業他社との熾烈な競争などで利益が頭打ちになっているからだ。

 なかでも各チェーンがこぞって進出するのがタイ。日本貿易振興機構(JETRO)が行った調査によると、23年のタイ国内の日本食レストランは5751店。17年時点では2774店のため、わずか6年で倍以上に急増している。

 そこで、タイで展開する日系外食チェーンの店舗数を各社のホームページ等で確認したところ、突出して多かったのが定食系の「やよい軒」(199店)と北陸を中心に展開する「8番ラーメン」(158店)。他にも「CoCo壱番屋」(51店)、「大戸屋」(51店)、「すき家」(33店)、「モスバーガー」(29店)、「吉野家」(24店)、「一風堂」(23店)、「スシロー」(22店)、「てんや」(12店)、「築地銀だこ」(11店)、「まい泉」(10店)などおなじみのブランドが目立った。コロナ禍で規模を縮小したところもあるが、長期的には増加傾向が続いている。

 もともとタイは1960年代以降、日系企業の進出が活発になり、バンコクを中心に個人経営の日本料理家が増加。現地の人々にとって和食は、数ある外国料理の中でも馴染み深い料理だったようだ。

「70年代に『Fujiグループ』、90年代後半には『OISHIグループ』という日本食レストランが誕生し、タイ全土で展開。いずれも非日系ですが現地では日本食の2大チェーンとして認知され、ファミレス感覚で親しまれています。そのため、日本国内における町中華のように自国料理のような感覚で受け入れられているのです」(現地在住ライター)

 しかも、タイ人にとって日本の外食チェーンの料理は、たまに食べるちょっと贅沢な食事という位置づけ。値段は日本よりも割高に設定されているが、多くの店が賑わっている。

「客単価は高く、それでいて人件費は日本より安いので利益率が高い。それに多くのチェーンは現地企業によるフランチャイズ経営です。同業他社の成功事例も多いですし、日本よりリスクを抑えて利益を出すことが可能なわけです」(同)

 外食チェーンにとっては、人口の減る日本国内だけでビジネスが成立する時代ではなくなりつつあるようだ。

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