4月11日に新型コロナウイルス感染が判明し、キャスターを務める「報道ステーション」(テレビ朝日系)を離れていた富川悠太アナが、6月4日の放送で約2カ月ぶりの復帰を果たした。
「感染拡大の防止を呼び掛けていたにも関わらず、番組内に私を含めまして5人の感染者が出てしまいました。改めてお詫び申し上げます」
富川アナは冒頭、こう言って、番組でコロナ対策を声高に呼びかけていたにもかかわらず、自分を含む番組関係者が感染してしまったことを陳謝。そしておよそ15分間にわたって自身の感染にいたるまでの行動などをつまびらかにし、反省点として「短時間でも発熱を軽視しない」「正確な体調把握と判断の遅れ」「“密”な環境を無くすことできず」という3点を挙げていた。しかし今回の放送にはなお、視聴者からの猛批判が寄せられたという。
「富川アナ自身については《感染したこと自体を責めるべきではない》《本人の口から感染状況について詳しく説明したのは有益な情報》などと、その態度を評価する声が少なくありません。その一方で視聴者の怒りの矛先は、発熱や体調不良を訴えた富川アナの出演続行を了承したチーフプロデューサー(チーフP)に向けられているのです。番組ではチーフPのコメントを森川夕貴アナが代読しましたが、そこでの『休ませる判断までいたりませんでした。熱がないのに休ませるのは難しい、という先入観が甘い判断につながった』という内容から、今回の集団感染の黒幕はチーフPだったのではないか、という意見につながったのです。『猛省しております』というコメントも、代読ではあまり視聴者の心に響かなかったのではないでしょうか」(テレビ誌ライター)
視聴者からは《なぜチーフPが出てこない?》《富川アナを悪者に仕立て上げたのはチーフPだろう!》との批判が続出。何より「報ステ」では政府のコロナ対策を痛烈に批判していたのだから、その番組姿勢をリードしていたチーフPこそ部署内での感染拡大の責任を取る立場にあるということのようだ。ところがチーフPはすべての説明責任を富川アナに押し付け、自分は顔を見せることなく保身に走っているという解釈のようだ。
「部下である富川アナをスケープゴートにする形は、日本の労働環境における異様な上下関係の表れであり、パワハラとさえ言えるもの。もとより『報ステ』では様々な形のパワハラを問題視する報道を行ってきましたが、当の自分たちはどうなのかと批判が集まるのも当然でしょう。これで世間の予想通りに富川アナが降板することになれば、それこそ“トカゲのしっぽ切り”にほかなりません」(前出・テレビ誌ライター)
果たして「報ステ」のチーフPが、番組内で富川アナの「強行出演」についてみずからの口で説明する場面はあるのだろうか。
(北野大知)