大阪府の吉村洋文知事は5月31日に出演したテレビ番組で、大阪府が大阪市などと共同で主催する11月29日開催予定の「大阪マラソン」について「今年の開催は難しいのではないか」と中止を匂わせる発言をした。この発言が吉村知事の高校野球に対する発言と矛盾しているのではないかと物議を呼んでいる。
吉村知事は、5月20日に高野連が今夏の全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)の中止を発表したことを受け、府庁での談話として「やってほしかった。高野連はリスクをとるべきではないか。考え直してほしい」と主催者を非難する発言をしていたのだ。さらに5月30日には関西ローカルの「あさパラ!」(読売テレビ)に生出演し、同大会の中止について「あきらめない立場を大人が示すべき」、「大人側の都合だと思う」と持論を展開していた。
大阪マラソンと甲子園、この二つの発言のズレに府民からは《高校野球への発言は当事者でないことをいいことにした人気集めの無責任な発言だったとしか思えない》といった批判が噴出している。吉村知事は中止を考える理由として「かなり多くの方が集まるし、毎年あるのでどうしても今年やらないといけないのか」と発言したが、ゼロリスクを批判していた吉村知事に対して《民間にはリスクを負うことを求めたにも関わらず、大阪府はリスクをから逃げ出した》と批判の声があがっている。
「そもそも甲子園球場は兵庫県にあるのになぜ大阪府知事が口を挟むのか。リスクを負うのは兵庫県だから好き勝手に言っているだけではないか、と思っていた人は大勢います。今回のマラソン中止でその疑念は一層深まるでしょう。大阪のマラソンは中止で兵庫県の甲子園大会は断固やるべき、というのはやはり納得いかないでしょうね」(政治ライター)
一方で、《マラソンは観客を規制することが不可能で、野球に比べて感染リスクを回避することが難しいから仕方がない》《毎年走れるマラソンと高校生しかチャンスがない甲子園とでは中止の重みが違う》といった吉村知事の判断に理解を示す声もあがっているが、やはりこのふつの発言の“矛盾”に違和感を覚える人は多いようだ。
(浜野ふみ)