この夏、大きな話題となっている「職場のエアハラ問題」。意図的に場の空気を壊すことで苦痛を与えるとの意味もあるが、それとは別にエアコンの温度設定をめぐっての嫌がらせ行為全般という意味も存在する。
ちなみに現在問題となっているのは後者のエアハラ。そもそも「ちょうどいい」と感じる温度は人によって異なり、オフィス内の室温が全員にとって適温というわけではない。ゆえに一方が嫌がらせだと感じても、それが意図的なものなのかは判断するのは難しい。
「基本的に男性は暑がり、女性は寒がりの傾向があり、職場の室温を全員が納得する形にするのは困難です。それでも、これを『エアハラだ!』と上司や会社に訴える社員が増え、問題をさらにややこしくしています」(職場のハラスメント問題に詳しいビジネス誌記者)
では、企業側はこの問題についてどのように対処しているのだろうか。前職が某上場企業の総務部だったという男性は、エアコン設定温度のルールについて次のように話す。
「ウチの会社は基本的に28℃で統一。複数の男性社員から『暑い!』『もっと下げてくれ』との要望が届いていましたが、一部の女性社員からも『寒いから設定温度を上げてほしい』との不満の声が寄せられていました」(元総務部社員)
だが、いくら要望があっても28℃以上に上げることはできない事情があったという。
「労働安全衛生法に基づき定められた『事務所衛生基準規則』の第5条第3項では、室温を18℃以上28℃以下にする努力目標が設定されています。罰則は設けられていませんが、28℃というのは単に省エネ目的というだけでなく、女性社員にも配慮した上限ギリギリの設定温度なんです」(元総務部社員)
そうした事情を踏まえると、寒ければ上着を羽織る、暑ければ冷却グッズの使用など少しでも快適に仕事をできるように自分なりに工夫したほうがよさそうだ。