《備蓄米が瞬時に売り切れた》《深夜のコイン精米機に行列が》…こんな「令和のコメ騒動の実況」がXに飛び交っている。一見するとコメ不足再来のように映るが、農水省の作況調査によれば、2024年産の主食用のコメ収穫量は679万2,000トンと、前年より18万トン増。政府による備蓄米の放出量も21万トンで、物量は数値的には潤沢のはずだ。
そんなコメ騒動の中、家庭用精米機と高機能炊飯器の売り上げが絶好調だという。
業者が扱うコイン精米機は、稼働台数が全国で約2000台まで増え、売り上げは前年比120%。首都圏の運営会社ではピーク時の玄米持ち込み量が月300トンを超えた。そして、家庭用精米機の勢いも同様だ。名古屋市内の家電量販店では、3月の精米機の販売台数が1日平均10台、売上高は通常の2倍に達し、在庫の確保が追いつかない状況になっているという。
価格.comによる6月ランキングでは、アイリスオーヤマの「米屋の旨み 銘柄純白づき RCIーB5」、タイガー「RSFーA100」、山本電気「ライスクリーナー 匠味米 MBーRC52」が上位を独占している。
玄米は酸化しにくく長期保存向きだが、表層が乾きやすく香りも飛びやすい。そこで自分で歩留まりを調整して削り、炊きたての風味を取り戻す「自己精米」が注目されているようだ。
また、乾燥した古米の甘みを引き出せる高機能炊飯器への関心も高まっている。家電量販店では、高火力IHや可変圧力モデルの売り上げが前年比120%に伸びている。パナソニック「ビストロ V シリーズ」は、AIが含水率を計測し、9600通りもの火加減を自動制御する。象印「炎舞炊き NWーNA10」は、「冷めてもモチモチ」の食感を訴求し、日立「ふっくら御膳 RZーV100HM」は、銘柄炊き分けが特徴。いずれも4万円から高いもので9万円クラスもあるが、売り上げは好調だ。
コメ騒動の最中、玄米+自宅精米+高性能炊飯器という組み合わせは、「家庭内備蓄米」としても支持されているようだ。
(ケン高田)