阪神・佐藤輝明の活躍にOBが掌返し/ プロ野球「12球団のアキレス腱」(1)

 コロナ禍に振り回された昨シーズンとは打って変わり、予定どおりにペナントレースの幕が上がった。ところが球界の事情通たちの話に耳を傾けると、そこかしこに致命傷となりかねない泣きどころがあるわあるわ。とことん語り尽くしてもらおうではないか。

A(ベテラン遊軍記者) 開幕を前に、オープン戦MVPは阪神の佐藤輝明(22)で間違いないだろう。

B(民放局プロ野球中継スタッフ) 相手チームも球種やコースの得手不得手を知るためにわざと打たせた部分はあるでしょうが、さすがに開幕を目前に控えた本番さながらのボールを弾き返す打棒は本物ですよ。

A ひと言物申したい阪神のOBたちすら、文句を言えなくなった。打撃練習で快音を連発していた春季キャンプ中には、大学時代の低打率を参考にしたのか、実戦の打撃に懐疑的な声を上げるOBが多かった。それが今では、手のひら返しで「佐藤賛美」の大合唱。

C(球界OB) 虫がよすぎるよ(笑)。でも、その新人らしからぬ態度を不遜と思うスタッフもいるみたい。

D(NPB関係者) 周囲からの評判を気にしない性格で、先輩やスタッフにズケズケと意見することもしばしばのようですからね。

E(スポーツライター) そうそう。今のところは生意気キャラで収まっているけど、見ようによっては無礼にも映る。

A その図々しさを含めて、規格外のルーキーだよ。しかも、昨シーズンはチームを大混乱させたコロナのおかげで、虎の悪習からも逃れられている。

C 先輩やタニマチから酒席に誘われないのは、新人にとってありがたい限り。甲子園のある西宮出身のドラフト1位だっただけに、通常なら野球そっちのけで、夜通し連れ回されてもおかしくなかったからな。

E 阪神にとって追い風なのは、矢野燿大監督(52)に半ば強制されていたガッツポーズが「今季はスカしてもOK」と指揮官から許可が出されたらしい。ちなみに昨季、ロッテに移籍した鳥谷敬(39)は本気で拒否していた。同じく遠慮したい派の近本光司(26)や髙山俊(27)にとっては、朗報だろう。

B 一方で巨人の原辰徳監督(62)は、新外国人のスモーク(34)とテームズ(34)の不在に相当イラついているようです。

E だから来日が遅れている外国人選手向けに、来日後の隔離期間中は他球団の選手も1カ所に集めての「合同練習会」を提言したのかな。

A 残念ながら、単なる思いつきだったらしい(笑)。宿泊先に指定した、球場と直結の東京ドームホテルには何の根回しもなかったようだ。試合のない月曜日に提供した、メディア向けのヒマネタに過ぎないよ。

D なまじ発言力があるだけに、周囲は振り回されっぱなしですよ。その最たる被害者は5年目の吉川尚輝(26)でしょう。

A 単打と足で稼ぐ選手なのに、OPS(出塁率+長打率)を上げるよう指令が出た。悪球打ちを改善して四球を選べるようにしたいんだろうけど、プラスして長打率まで求めるのは酷。打撃感覚を狂わせて潰れてしまうよ。

B セカンドの守備範囲は他の選手を圧倒していますが、腰の爆弾の影響で原監督の信頼を勝ち取れていないから、よけいな上積みを求められてしまうのでしょう。春季キャンプは主力中心のS班だったので、レギュラー格に昇格とばかり思っていましたが‥‥。

D さすがに早合点です。マイペース調整が許されていたS班でも、吉川と昨年はケガに泣いた小林誠司(31)だけは朝から晩までバリバリ練習していた。アピールに必死でしたよ。

A:ベテラン遊軍記者/B:民放局プロ野球中継スタッフ/C:球界OB/D:NPB関係者/E:スポーツライター

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