2026年4月より、自転車の交通違反に「青切符制度」が導入される。背景にあるのは自転車事故の急増だ。
警察庁などの統計によれば、2016年の自転車事故は1万1218件だったのに対し、24年は1万5080件と急増。それに伴い、16年は1万人以下だった負傷者も、近年は1万3000人前後に増えている。事故後に深刻な後遺症が残った人も少なくない。
青切符の対象となる違反の主なものは、スマホや携帯電話を使用しながらの運転で、反則金は1万2000円。信号無視や逆走、歩道通行などは6000円で、傘を差しながらの運転は5000円などとなっている。
しかし、この制度改正には大きな問題が2つあると言われる。1つ目の問題は上記の「歩道通行」について。保育園関係者が語る。
「うちの保育園の近隣には、まだまだ自転車専用の走行路が整備されていません。自転車で幼児を送り迎えするお母さんやお父さんは、大型トラックが行き交う車道の端を走るしかないのです。雨の日などはさらに危険が増します」
2つ目の問題は「自転車に乗らない派」の増加だという。お笑いコンビ「メイプル超合金」のカズレーザーは、4月25日、「サン!シャイン」(フジテレビ系)に出演した際、青切符問題についてこう述べた。
「自分は自動車の運転免許を持っていないので、道交法についてわかっていない部分が多い。自転車のルールが厳しくなるというので、これからは自転車に乗らないようにするしかないと思う」
自転車業界関係者も嘆息する。
「コロナ禍で、人混みを避けて自転車通勤に切り替えたり、健康を考える人が増えたことで自転車が見直され、愛好家も増えつつあります。また、自動車免許を自主返納して自転車に乗り換える高齢者も増えた。そんな、せっかくの自転車ブームが、青切符制度でしぼんでしまいそうです」
警察庁は5月24日まで青切符制度についてパブリックコメント(意見公募)を行っているが、こうした問題は払拭されるのか…。
(田村建光)