アメリカのトランプ大統領が4月3日(日本時間)に「相互関税」の導入を発表するや、NYダウ平均は史上3番目の大暴落を記録。世界各国の株式市場は荒れに荒れた。その後、90日間の停止措置が発表されたものの、一寸先は闇。先の読めない「トランプ恐慌」を迎え撃つマネー防衛術をここに紹介する!
「1年ほど前から毎月1万円をつみたてNISAに回していたのが、今回の株価暴落のニュースを見てビックリ。8000円ほど利益が出てシメシメと思っていたところ、そんなものは一気に吹っ飛んで、逆に2万円の赤字だよ。全世界株式を対象にしたオルカン(オールカントリー)に投資すれば安心と聞いていたのに‥‥」
投資はズブの素人だという週刊アサヒ芸能デスクはこう嘆く。昨年1月から新NISAが導入され、およそ半年後に口座数は2500万を突破。デスク同様、「トランプ恐慌」とも言える世界的な大暴落で愕然とした人は多いはずだ。
この事態に、「ちゃんと聞いておけば‥‥」と思い出されるのが、経済ジャーナリストの荻原博子氏のこんな言葉だ。
「新NISAで9割の日本人はカモにされるだけ」(「プレジデントオンライン」より)
かねてから警鐘を鳴らしていた当の荻原氏はこう語る。
「国は資産形成のためと言って新NISAを勧めてきましたが、所詮、投資はギャンブル。今回の事態を簡単に説明すると、アメリカのトランプ大統領が世界中の国を敵に回して『貿易戦争』を仕掛けたということ。“戦争”となれば当然、市場では先行き不透明感から売りが先行して株価は下がります。アメリカへの輸出に頼る自動車産業をはじめ、農業や漁業などの一次産業にも暗い影を落とし、当然、夏のボーナスにも響いてくるでしょう」
財務省の貿易統計によれば、24年の日本の総輸出額は約107兆879億円。そのうちアメリカへの輸出額は約21兆2947億円に上る。
「品目別に見ると、自動車の6兆264億円が最多で全体の約3分の1を占めます。また、日本の農林水産物の輸出先のトップがアメリカで、その額は2400億円以上。牛肉(和牛)、ホタテといった海産物、緑茶や菓子、日本酒、醤油など、アメリカ向けに生産されていたものが輸出できなくなると、23年に中国が海産物の禁輸措置をとった時のように、これらの品が国内でダブつく可能性が考えられます」(全国紙経済部デスク)
和牛やホタテが安く買えるのは大歓迎だが、荻原氏は、今こそ変革のチャンスだと主張する。
「アメリカ偏重の輸出構造を見直すいい機会とも言えるでしょう。他の国の対応を見ながら、輸出先の地域や品目をより多様化して、リスクを分散することが大切。また、注目すべきは、アメリカが敵対視して合計145%もの関税をかけた中国。なんだかんだ言って、中国は市場として大きいですからね。まだ入り込む余地はありますし、中国製品がアメリカで売れなくなったら、仲介貿易の視点から日本がより存在感を増していくでしょう」
米中貿易戦争に巻き込まれないよう祈るしかない。
(つづく)