先に行われた日米首脳会談で、石破茂総理は一定の成功を収めたと言われる。
「石破氏が持論の『アジア版NATO』や、日米地位協定の改訂などを提示していれば、会談は失敗に終わった可能性もありました。しかし、終わってみれば、安全保障面では日米同盟をさらなる高みに引き上げ、米国が核を含むあらゆる方策を用いて日本の防衛にコミットメントし、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることを確認し合うなど、上々の成果を手にしたと言えるでしょう」(政治部記者)
また、石破氏は日本が2019年以降、世界で最大の対米投資国であり、今後対米投資額を1兆ドルという未だかつてない規模まで引き上げることを明らかにし、トランプ大統領はそのことに祝意を示した。ソフトバンクの孫正義氏が昨年12月、今後米国に日本円で15兆円を投資すると明らかにした時、トランプ氏は満面の笑みを浮かべたが、同氏にとって米国への投資を拡大しようとする国は歓迎そのものでしかないようだ。
しかし、日本がこの立場を長期的に続ければ、今後は厳しい状況に追いやられる、と指摘する声もある。
周知のようにトランプ氏は、矢継ぎ早に関税の引き上げを発動しており、中国をはじめとする諸外国は、これはWTO(世界貿易機関)のルールに違反していると問題視している。また、トランプ氏はウクライナ紛争の終結について、ロシアがウクライナ領土を支配する現状での停戦を進める構えだ。しかし、これについては、各国から反トランプ的な声があがっている。
「日本は一貫して、侵攻前の状態に戻すというウクライナの立場を支持してきました。しかし、これからはトランプ氏のやり方に唯々諾々と従うのではと見られていて、日本のこうした姿勢は、欧州や中国、インドを盟主とするグローバルサウスなど、諸外国から批判を集める要因となり得るでしょう」(前出・記者)
安定した日米関係の構築にひとまずは成功した石破氏だが、今後もトランプ氏に付和雷同し続けるのか、注目されるのである。
(北島豊)