テリー 世界が注目している東京オリンピック・パラリンピックに関して、今、どんな取り組みをされているんですか。
小池 私は、パラリンピックこそが東京大会成功のカギを握っていると思っています。ですから、パブリックスペースのバリアフリー化は最優先で進めていきたい、と考えています。私自身も車椅子を使って、障害のある方たちと日比谷公園に行ってみたんですが、地面はガタガタしています。ほんの少しの段差で上がれないところもあって。
テリー 交通機関や宿泊施設も、あわせてお願いしたいですね。だって、結局それはオリンピック・パラリンピックのためだけじゃなくて、それ以後も都民やこれから増えていく外国人旅行者のためになるじゃないですか。
小池 まさに、おっしゃるとおりです。日本は高齢化社会ですし、体が不自由な方々がこれからも増えていきます。ですからこの機会に東京を、誰にとっても住みやすい、移動しやすい街にしていきたい、という思いがあります。
テリー 昨年の夏みたいな酷暑だった場合は、さらに大変になりますよ。
小池 暑さ対策も重要ですね。ですが、それよりも大会期間中は大混雑で移動が困難になるんじゃないか、という心配の声もあるんですね。
テリー 確かに「オリンピック中は仕事にならないんじゃないか」と言っている人は多いかも。
小池 それを緩和する方策として、都では「テレワーク」の普及を推進していきます。
テリー ああ、会社に行かなくても、自宅や近所のサテライトオフィスで仕事ができるというアレですか。
小池 そうです、そうです。12年のロンドン大会の成功要因の一つに、テレワークが一気に普及したことが挙げられます。そのおかげで、実際、競技会場の近くには競技を見に行く人しか集まらなかったそうです。先ほどのバリアフリーの話と同じで、これは育児中の方や体が不自由な方でも仕事に参加できるようになる、働き方改革の強力なツールになるはずです。ですから今回、テレワークを推進するための予算を60億円ほど用意しています。
テリー 先ほど小池さんがおっしゃっていたとおり、ロンドン大会はパラリンピックでたくさんの観客が動員できたことが成功の大きな足がかりとなったわけですよ。でも、まだ正直なところ、僕を含めて日本人のパラリンピックに対する意識はまだまだ低いですね。
小池 私は、オリンピック・パラリンピックの旗を受け継ぎにリオに行ったんですね。その時、パラリンピックの会場でたくさんの子供たちが同じ紫色のTシャツを着て観戦しましてね。聞いてみたところ、イギリス王室のサポートでみんなにTシャツを着せて観戦させていたらしいんです。そういう活動を見せられると、私たちもより普及に力を入れていかなければと、あらためて思わされました。
テリー 現地で見たパラリンピックの印象は?
小池 チャレンジとは、こういうことを言うんだな、と。本当に感動しますね。両腕がない方がトビウオのように泳いだり、車椅子でガッチャンガッチャンぶつかるラグビーやバスケットはもう格闘技みたいな印象で。これはぜひ、「アサヒ芸能」でも特集していただきたいですね。