天才テリー伊藤対談「小池百合子」(2)築地は「食」とは別の魅力が欲しい

テリー どうすれば地方が活性化するでしょうね。

小池 昨年、大阪でブロック塀が倒れて、女の子が亡くなる不幸な事故がありましたでしょう。ブロックは、安く簡易に作れることから取り入れた戦後復興の遺産ですよね。そこで私は、ブロックを木に変えたらどうか、と提唱してみたんですね。

テリー 木材を使っての活性化ですか、それはおもしろい。

小池 私、「気遣い」ならぬ「木使い」って言っているんですけれど(笑)。これまで日本の木材は輸入材に押されている状況でしたが、このところ中国やアメリカへの輸出材が増えてきているんです。

テリー なるほど、「木材は儲からない」が定説でしたけど、海外の評価は高まっているんですね。

小池 だったら、もっと日本国内で需要を作っていきましょう、と。例えば、日本中の塀を木材に変えていくだけでも違ってきますよね。木材が売れれば、これまでほったらかしになっていた山や森にも手が入りますし、それは治水にもつながります。

テリー 熊本などで大きな被害を出したような、土砂災害を防げますものね。

小池 大雨で人命が失われたうえに復興予算を追加するよりも、前もって経済原則で回していったほうが、地方の活性化にもつながるじゃないですか。それを全国知事会で発表したら、大きな賛同を得まして、現在では全国45の都道府県が参加したプロジェクトチームが動き始めたんです。

テリー 木で日本を元気にするなんて、すばらしいアイデアですね。そういう提案をもっと出していくべきですよ。あと、築地市場の跡地に国際会議場を作るという話が進んでいるそうですが。

小池 はい、そうですね。ご承知のように、あそこは23ヘクタールの広さがあって、隣には浜離宮、ちょっと行くと築地本願寺、さらにテリーさんもお好きな銀座、新橋、京橋もあって、日本の中でも最高のロケーションですよね。

テリー ついでに、場外市場には僕の実家の玉子焼屋もあります。

小池 そうでした(笑)。そこに、私たちが「MICE」(マイス/多くの集客が見込まれる、経済効果の大きいビジネス関連イベントを開催するための大型施設)と呼んでいるものーただ国際会議場をポツンとひとつ建てるのではなくて、会議場をベースに民間の知恵も生かした、周辺地域の活用法を考えています。

テリー 僕は今、大学院に通っていて、都市工学みたいなものも、少し勉強しているんです。(パソコンを開いて)これ、12年のロンドンオリンピックの跡地なんですが、ご存じですか。

小池 「クイーン・エリザベスオリンピック・パーク」ですよね。はい、私も見てきました。もともと産業汚染もひどくて、大型ゴミの投棄場として知られる場所だったらしいですね。

テリー そんな場所が、緑あふれる公園になっているじゃないですか。ここに築地の新しいビジョンのヒントがあるんじゃないかと思うんですよ。あと、都知事は築地を「食」で売ろうと考えているようですが、僕はそこにこだわらなくてもいいと考えていて。

小池 そうですか? 場外市場とさまざまなリンクができればと考えたんですが‥‥。

テリー だって、もう豊洲があるじゃないですか。築地はまた別の魅力を持つべきなんですよ。

ライフ