今ではすっかりフリマアプリ「メルカリ」にお株を奪われてしまったヤフーオークションだが、今でも思わぬ掘り出し物が見つかることがある。中には知る人ぞ知る「お宝」がひっそりと出品されていることもあるようで…。
キリストや聖母マリアの遺品として知られる「聖遺物」に例えられている幻の「同人誌」が、「ライトノベル一般」のカテゴリーに出品されたのは、2月3日のことだった。商品のタイトルには「『竹箒』武内崇 奈須きのこ 空の境界 同人誌 小説 初版 1998年 当時物 TYPE-MOON タイプムーン」とあり、開始価格は驚きの288万8880円をつけた。ケタをひとつ、いや、ふたつは間違ったのではないかと思わず二度見した人もいたのではないだろうか。
「空(から)の境界」とは、小説家・奈須きのこ氏による日本の長編伝奇小説で、事故により2年間昏睡状態であった少女・両儀式と、その周辺の人物を巡る物語。講談社ノベルスより2004年6月8日に書籍として刊行されているが、実は01年に開催された「コミックマーケット61」で同人版が販売されている。
今回ヤフオクに出品されているのは、それをはるかにさかのぼる1998年11月に開催された「コミティア48」にて、10冊発行した中で売れた6冊の中の1冊だと見られている。ネットにはマニアの声が相次いでいる。
《リアルに博物館ものだろ》
《本物ならヤバい。オタク歴史館があったら、特別展示室に飾られるレベル》
《10冊発行、6冊販売というガチの貴重品》
二度と目にすることのない幻の本ともいわれているだけに、まさかの出品に界隈では上へ下への大騒ぎになっている。
結局、オークションは2月6日22:05の終了時間までに54件の入札があり、落札価格はなんと500万1000円と表示されている。当初、出品者への質問欄に「600万円で即決はむつかしいでしょうか?」という質問が寄せられていたが、どうやら冷やかしではなかったようだ。
(ケン高田)