今では珍しいことだが、我が家には杵と臼がある。女房の祖父母の代から使われてきた物らしく、年季が入っている。かつては、近所の人たちと一緒に正月用の餅をついたり、町内会のイベントで使ったり、近くの幼稚園で園児を喜ばせたこともあるとか‥‥。
ところが、昨今は公衆衛生の概念が変化した。
「手でベタベタ触った餅なんて、とてもじゃないけど食えない」
なんて人も増えてきた。ましてや、おかげで、すっかり物置の肥やしになっている。それを伝えたヤフオクウオッチャーによると、
「希少価値は年々、高まっていて、杵と臼は新品セットなら5万円前後で取り引きされており、中古でも1万円は下らない。欅製なら、もう少し高くなるかもしれません。放っておくのは、もったいないです」
とはいえ、現在はコロナ禍にあって、餅つきイベントなんて、どこでも開いていない。需要などあるのだろうか。
「本来の用途に使うだけではなく、店舗のディスプレイ用に買い求める人も増えています」(前出・ヤフオクウオッチャー)
1万円で売れるなら、新品の電動餅つき機を購入することもできる。さっそくヤフオクを見たが、ほとんど売れ残っている。
「やはり季節商品ですから、12月になってからのほうが取り引きは盛んになります」(前出・ヤフオクウオッチャー)
あと7カ月待たないと、我が家の杵と臼はお宝に化けてくれそうにないのだ。