大敗の後に待っているのは、地獄の猛特訓というわけだ。
令和初の日本シリーズは、原巨人が屈辱の4連敗で幕を閉じた。選手層の厚いソフトバンクに対し、巨人はリリーフ陣に難を抱え、野手陣も固定できなかった。苦戦は予想されていた。最後のバッターとなった坂本勇人は「やられっぱなし。力の差を…」と悔しさをにじませ、吉村禎章打撃総合コーチは「短期決戦の難しさを感じた」と話した。
「不振とはいえ、先発の菅野智之に命運を託した感じ。その菅野が先に点を取られた時点で、チームの雰囲気はドンヨリと重いものに変わりました」(スポーツ紙記者)
シリーズ終焉と同時に伝えられたのが、阿部慎之助の二軍監督就任と「新コーチ」の招聘。意外だったのは、現役時代に全く接点のなかった石井琢朗・前ヤクルト打撃コーチの入閣で、しかも、野手総合コーチの肩書が用意されているということ。ヘッドコーチを置かない原体制では”筆頭の参謀”となる。
「石井コーチの指導力を評価したとのことですが、厳しい人ですよ」
と言うのは、広島コーチ時代を知るメディア関係者だ。
広島は昨季までの3連覇でメディア露出も高まった。石井氏もテレビカメラが向けられているときは「物静かな紳士」といった感じだが、実際は違う。選手を呼びつけて叱るだけではなく、緊急ミーティングと称してグラウンドでも集合を掛け、厳しく説教をすることもあったそうだ。
ひょっとしたら、原監督が求めたのは、妥協のない熱血指導者だったのかもしれない。
「シリーズ終了後、巨人側から出る話は、阿部のことばかり。惨敗を『指導者・阿部』への期待論にすり替えようとしているようにさえ見えます」(前出・スポーツ紙記者)
石井コーチ招聘の裏には、”広島アレルギー”の解消もあったそうだ。「対広島、5年連続の負け越し」の悪い流れが払拭されていない。現巨人は先に失点されると試合を諦めるのも早いといわれる。外様コーチが最初に着手しなければならないのは、こうした“ぬるま湯体質”の一掃だろう。
(スポーツライター・飯山満)