詐欺の温床になる「シニアの9割がスマホ利用」「7割が使いこなせない」実態調査が浮き彫りにした危うさ

 モバイル専門調査発表機関MMD研究所が1月17日に発表した調査データによると、シニア世代のスマートフォン所有者が約9割にのぼっているという。その一方でサポートを受けたことがあるとの回答は過半数を上回り、スマホを使いこなせないシニアが多いことも浮き彫りになった。

 同研究所が60歳から79歳の男女1万人を対象にインターネットでアンケート調査を実施したところ、モバイル端末の所有率は95.9%となり、その内、メインで利用しているモバイル端末の93.5%がスマホだった。3G回線のサービスが続々と終了していることもあってガラケーからスマホに乗り換えるシニア世代が増加しているようだが、ついに所有者が9割に迫る結果となった。

 さらに、スマホを所有していると回答した8921人にスマホに関する契約や普段利用でサポートを受けたかを聞いたところ、受けた経験のある人が51.4%と過半数を上回っている。ちなみにシニアが必要としているサポートで多いものは、ポイントの貯め方やメッセージアプリの使い方、写真や動画の撮影・閲覧。そして、基本中の基本である通話の仕方のサポートが必要と回答した人も2割いた。

「昨年8月にNTTドコモが運営するモバイル社会研究所が公表したアンケート結果では、60代の約4割、70代の約6割、80代の約7割がスマホ使いこなせていないと回答している。実際にはスマホを使用するにあたってサポートが必要だと考えている人は、実際にサポートを受けた人の数よりももっと多いと考えられます。しかし近くに家族がいなかったり、ドコモなどは店舗を大幅に減らしていることもあって、サポートを受けようにも受けられないケースも増えているのです。今後、そうしたスマホに不慣れなシニアを狙った詐欺はますます増えそうです」(ITジャーナリスト)

 シニア世代は家族からのすすめでスマホを持つケースが多いが、持たせるのであれば詐欺への対策もしっかりと講じておいた方がいいだろう。

(小林洋三)

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