「スペアキーは利用者が所持」三菱UFJ貸金庫窃盗で民間貸金庫が脚光

 1月14日、三菱UFJ銀行の元支店長代理、今村由香理容疑者が貸金庫から約2億6000万円の金塊を盗んだ疑いで逮捕された事件。

 今村容疑者は15年以上にわたり競馬などのギャンブルにのめり込み、2013年には700万円以上の負債を抱え民事再生法の適用を申請。しかし、その後もFX投資などで10億円以上の損失や借金が膨れ上がり、その返済に困ったことから窃盗に手を染めたという。

 三菱UFJ銀行によると、1月10日時点で被害者は約70人、被害総額は約14億円に上り、そのうち約7億円の補償を実施。半沢淳一頭取の月額報酬を3カ月間30%減額するなど役員5人の処分を発表し、金融庁に再発防止策を提出した。

「今村容疑者は短大卒業後、1999年に一般職として入行。その後、仕事ぶりが評価され総合職に転向。営業課長や支店長代理などを務め、順調にキャリアアップしています。しかし、支店長代理として貸金庫管理を任されると、その立場を悪用するようになったのです」(夕刊紙記者)

 今村容疑者はスペアキーで金庫を開けて顧客の金品を盗み出していたというが、今回の事件で銀行での保管に不安を抱く利用者が増えたためか、民間の貸金庫の注目度がアップしているという。

「関西にある民間貸金庫では、今回の事件後、銀行から乗り換える客が増えたといいます。銀行との違いは、面倒な承認審査、手続きがなく、24時間年中無休、受付なしで誰とも会わずに利用できること。さらにスペアキーは利用客が所持し、店側は持たない。万一、利用客が鍵をすべて失くした場合は、金庫業者を呼んで鍵を交換してもらうそうです」(同)

 今回の事件ではスペアキーが問題になっただけに、民間貸金庫のニーズが今後、増加するかもしれない。

(鈴木十朗)

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