犯人は40代女性行員「三菱UFJ貸金庫事件」がアメリカでは絶対に起きないワケ

 2024年11月に三菱UFJ銀行が公表した元女性行員による巨額窃盗問題。20年4月から24年10月の約4年半にわたり、都内の練馬支店(練馬区)、玉川支店(世田谷区)の2支店に保管されていた顧客の貸金庫から時価十数億円の金品が盗まれた。管理職だった女性行員は11月14日付で懲戒解雇されている。

 窃盗が起こった支店では、貸金庫を開ける際、「銀行用の鍵」と「顧客用の鍵」の2種類の鍵が必要となる。顧客用の鍵は顧客が持つ正鍵と、銀行が万が一に備え保管する予備鍵(スペアキー)がある。元女性行員は予備鍵を管理する立場にあり、銀行用の鍵と予備鍵で、貸金庫を開けて窃盗を繰り返していたという。

 三菱UFJ銀行側は、より厳重な予備鍵の運用ルールを設定するとともに、25年1月中に全ての予備鍵を本部で一括管理する体制にして、再発防止を図るとしている。

 とはいえ、本部管理部署の穴を突いて再発する可能性はゼロではない。一方、米国の貸金庫はシンプルなシステムだが、行員に窃盗される心配がなかった。

「三菱UFJ銀行貸金庫の巨額窃盗問題が明るみになったことで、個人ブログやSNSなどで米国の貸金庫システムを紹介する記事やコメントが見受けられます。それらによると、米国の貸金庫も、顧客用の鍵と銀行用の鍵が2つ揃わないと開錠することができないシステム。ただし、顧客用の鍵は客だけが持ち、銀行側はスペアキーを持たないようです。顧客が鍵を失くせばドリルで壊すしかなく、修理費を請求される。それでも、銀行側が不正をしようにも、顧客用の鍵がないので一切できないというわけです」(マネー誌ライター)

 三菱UFJ銀行も、米国の銀行を見習ってスペアキーを持つのをやめてはどうか?

(石田英明)

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