4月1日付で三菱UFJ銀行の頭取となった半沢淳一氏。昨年12月に今回の人事が決定した際には、あの半沢直樹をもじって「半沢頭取誕生!」と話題になった。しかも「13人抜き」のエリート出世で、加えて半沢直樹の作者の池井戸潤氏と「同期入行」ということから、「半沢直樹のモデルか!」などという声も上がったほど。
そしていよいよ半沢体制がスタート。目下、経営抱負を問うメディアに引っ張りだこで、インタビュー取材に対し経営課題を語っているが、そこで大きく報じられているのが「本館の建て替え」だ。
「現在の三菱UFJフィナンシャルグループは、銀行、証券、信託などグループの本社が大手町・丸の内の9カ所に分散しています。これを、銀行が保有する銀行本館を建て直して『MUFG本館』としてここに集結させるということです。そうして経営の迅速化を図ると共に、ポストコロナ時代のオフィスの在り方の見直しも含みます」(経済ジャーナリスト)
現在の銀行はどこも、全国の支店網を含めて肥大化した図体を、場所要らずのIT社会に合わせてスリムダウンしている最中。だから同行も「倍返し」ならぬ「1/9のスリム化」が急務というわけだ。
また、国や世界の動向にも歩調を合わせるようだ。
「菅政権が推し進めようとしているカーボンニュートラルと同様、脱炭素化も進めるとしています。具体的には石炭火力発電への融資ストップです。新設もしくは既存施設の増設には『原則として融資しない』としています。石炭火力への融資に関しては、世界では株主が銀行に対して融資を止めるよう提案がなされる動きが広がっていて、それは日本の銀行でも例外ではありません」(前出・ジャーナリスト)
さらにはデジタル化も進めて、具体的には令和5年度までに基本的にはインターネットで全ての取引が行えるようにするという。もはや銀行が稼ぐことが出来なくなった時代、それだけに半沢頭取の舵取りが注目される。
(猫間滋)