新幹線普通車の指定席はA、B、Cの3列シートと、通路を挟んでD、Eの2列シートが並ぶ配置だ。一般的に最も人気があるのが窓側のA、E席。次は通路側のC、D席。最も敬遠されやすいのが3列席中央のB席だ。
実は、最も不人気と思われるB席にもメリットがある。座席の幅が他の席より広いのだ。たとえば、東海道新幹線のN700系の場合、ほかの4席の座席幅は440ミリだが、B席は460ミリと、20ミリ広くなっている。わずか2センチではあるが、実際にかけてみるとゆったり感がわかるだろう。
静かさの面でもB席にメリットがある。両隣のA席、C席には1人客が座る。そのため、隣から聞こえてくる客同士の会話に悩まされることはない。A席やC席に座った場合、隣の2席が知り合い同士で埋まれば、会話がうるさく感じることも十分考えられる。
もちろん、B席にもデメリットはある。両隣にほかの客がいることは想定内だが、両サイドの肘掛けを使われてしまった場合は最悪だ。3列シートの場合、肘掛けは4つ。A席とC席は専用の肘掛けがあり、B席にはA席とC席の共用の肘掛けがそれぞれ1つずつある。A席とC席の客に共用の肘掛けを先に使われた場合、B席の客が使える肘掛けは1つもない。両横の客の肘はB席にはみ出すことも珍しくなく、そうなると、かなり窮屈な思いをすることになる。肘掛け争奪戦に負けることが、最大の落とし穴と言っても過言ではない。
「もちろん、肘掛けは誰が使ってもかまいません。ただ、B席に専用の肘掛けがないことはA席の人もC席の人もわかっているはずです。その意味ではB席の人に譲ってあげるのが大人というものでしょう。また、タレントのマツコ・デラックスはテレビのバラエティ番組で普通席の肘掛けはあくまでも『仕切り、陣地の分け目』と断言していました。マツコが言うように、A、C席の人がB席側の肘掛けを仕切りと考えてくれれば、B席の人もくつろげるはずです」(旅行誌ライター)
B席で快適に過ごせるかどうかは、肘掛けにかかっていそうだ。
(石田英明)