【素朴なギモン】東海道新幹線に運休・遅延が多い理由とは?

 先日の台風10号が接近、上陸した際は、8月29日から9月1日夜まで一部区間で運転見合わせが続いていた東海道新幹線。特に三島―名古屋間は3日間にわたって計画運休が実施され、中央本線や北陸新幹線経由の迂回ルートに利用客が殺到する事態となった。

 また、8月は16日も台風7号の接近に伴い、東京―名古屋間が終日運転取り止め、名古屋―新大阪間は本数減の計画運休となった。東海道新幹線では大雨による運休・遅延が毎年のように起きており、その頻度は他の新幹線よりも多いと言われている。ただし、それについては明確な理由が存在するという。

「山陽新幹線にも言えることですが、まず台風が接近、上陸しやすい地域に走っていることが挙げられます。しかも、盛土などの上に線路を敷いた土路盤区間が多いので大雨に弱い。一方、九州新幹線は大半が排水設備の整った高架区間で“大雨に強い新幹線”と謳われています」(保線担当だった元鉄道会社社員)

 東海道新幹線の東京―新大阪の515㎞のうち、盛土区間は230㎞で、山の斜面を削った「切取」と呼ばれる区間は44㎞。全体の53%が高架ではない土路盤区間で土砂災害のリスクは思った以上に高いようだ。

 実際、台風10号では遠く離れた北海道にも大雨をもたらし、8月31日にはJR石勝線で土砂が線路上に流れ込んだことで盛土の一部が流出。復旧に時間がかかり、運行がようやく再開されたのは9月5日の昼前になってからだ。

「数分に1本が時速200㎞以上で行き来する東海道新幹線で同様のことが起きた場合、列車が巻き込まれたら大事故になりかねません。東海道新幹線の運休に関する主な条件は、雨量が(1)1時間60mm以上、(2)1時間40mm以上で24時間総雨量150mm以上の2つ。風は30m以上で運休となりますが、今は台風の進路が事前にある程度分かるため、それに基づいて計画運休を判断、発表します」(同)

 これもすべては安全に運行するためのルール。地下を走るリニア中央新幹線なら大雨の影響を受けないだけに1日も早く開業してほしいところだが…。

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