「あれ、昔と味違う…」久しぶりの「レディーボーデン」に違和感のワケ

 アイスは冬に食べてこそ美味しいという。夏場は氷系やシャーベットが人気だが、冬は乳脂肪分が高く濃厚なアイスが人気だ。暖かい部屋で風呂上がりや夜中に食べる冷えたアイスは格別のご馳走だ。

 濃厚なアイスと言えばプレミアム感漂う「レディーボーデン」を思い浮かべる人も多いのではないか。日本における「プレミアムアイスクリーム」の草分け的存在で、特に昭和世代の人にとっては思い出深い。950ml入りの大型容器から少しずつ取り分けては、大事に大事に食べたという人は多い。

 現在は、俳優の成田凌がCMに出演しており、「まいにちにちょっとしたご褒美を」と商品をアピールしている。ところがこのCMの最後、「お口の恋人LOTTE」の表示に「あれ?」っと思った人はいないだろうか。そう、多くの人の記憶に残っているレディーボーデンは「明治乳業」の商品だったはずだ。

 実際、CMを見て昔を懐かしむ思いでレディーボーデンを買ってみたら、「昔の味と違う?」と味の変化に気付いた人も多い。そもそもなぜロッテなのか。

「プレミアムアイスの王者ともいえるレディーボーデンは、アメリカのボーデン社と明治乳業(現・明治)の共同開発商品として発売されました。高級アイスクリームの代名詞になっていましたが、爆売れしたことでボーデン社は日本法人を立ち上げ、明治乳業とのライセンス契約を解消。その後、日本市場から撤退し、売り場から姿を消した時期もありました。ボーデン社は1991年に独自商品で日本市場へ再参入したものの、売り上げは低迷。そこで94年から、ロッテと新たにライセンス生産契約を結ぶことになったのです。20年にボーデン社が破産したことで、現在はロッテが製造販売しています」(フードライター)

 なるほど、かつてのボーデン社は今はなく、当時とは別メーカーが製造しているのだから甘みや後味が違うと感じる人がいるのも当然だ。

 だからといって、現在発売されているロッテのレディーボーデンがマズイということでは決してない。売れ行き好調で、根強いファンは多い。

 ただ、あの美味しさは「思い出補正」を差し引いても格別だった。当時の味が絶滅スイーツになったのは、寂しいかぎりだ。

(ケン高田)

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