【中国】習近平「浪費は恥、節約は栄誉」スローガン効果ナシで“ホームレス急増”の無策

 不動産バブル崩壊による不況が長期化している中国。20年に習近平国家主席が出した重要指示にあった「浪費は恥、節約は栄誉」というワードが人民の間でスローガン化しているが、それでも仕事や住まいを失う者が続出。その結果、街にはホームレスが溢れることに。

 具体的な数は不明だが、過去には「06年の1年間に保護された都市部のホームレスがのべ70万人以上」「14年における中国全土のホームレスはのべ351万7000人」と日本のメディアでも報じられている。一般的に中国のバブル崩壊は19年ごろに始まったと言われていることを考えると、増加していると判断するのが自然だろう。米国では米国住宅都市開発省(HUD)が23年1月時点の米国内のホームレスが過去最多となる65.3万人と発表。少なくとも中国がこの数字を上回るのは間違いなさそうだ。

 実際、中国国内を出張で飛び回る機会が多い上海在住の駐在員・黒沢礼治さん(仮名・43歳)は、都市部の変化について次のように語る。

「コロナ前と比べると明らかにホームレスが増え、街の雰囲気が悪くなりましたね。地下鉄駅の構内でもよく見かけますし、どの大都市にもスラムっぽいエリアがある。休日家族で外出する時は、必ず日が暮れる前に家に戻るようにしています」(黒沢さん)

 また、中国では不特定多数を狙った無差別襲撃事件が多発しており、6月には蘇州で日本人学校のスクールバスが襲撃され、凶行を止めようとしたバス案内係の中国人女性が犠牲に。9月には深センで登校中の日本人の小学生が襲われ亡くなっている。

 今年、日本から広州に赴任した鈴木順太さん(仮名・36歳)は、後で妻子を呼び寄せる予定だったが単身赴任に切り替えた。

「こっちでは比較的治安が良かった都市でも事件が相次いだからです。ホームレスに絡まれた、なんて話も聞きますし、職場の中国人の同僚たちも不安がっています」(鈴木さん)

 近年は失業などで住宅ローンが払えず、家を失う中国人も急増。同国の大手不動産調査会社の中国指数研究院によると、23年に中国国内で差し押さえた住宅の競売件数は38万9000件。しかも、今年は住宅ローンの不良債権化が前年以上に増加と現地メディアも報じている。

「中国は親族同士の結びつきが強く、家を失った身内を居候として受け入れている人も多い。ただし、彼らにも余裕があるわけではなく、実際に路上生活を強いられている人は増えています。不況脱出の気配が見えない以上、当分はこの状況が続くでしょうね」(中国事情に詳しい全国紙記者)

 ホームレス問題に関しては、米国よりも中国のほうが深刻だったようだ。

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