欧州の報道とはまったく異なる調査結果で日本のツナ缶は一安心といったところだが、欧州以外ではどのような基準になっているのか。
「アメリカやカナダでは、ビンナガマグロを原材料としたツナ缶は、総水銀濃度が高いという報告がされています。そのため、妊婦さんや子供には、日本よりも厳しいアナウンスがされています。具体的には、妊婦さんは1週間でツナ缶300グラム、子供は150グラムです」(菅原氏)
冒頭の報道でも「欧州のツナ缶は危険なレベル」とされているが、では一体なぜ、日本と海外でこんなにもツナ缶の水銀濃度に違いがあるのだろう。「漁獲場所によりマグロの総水銀濃度が異なる可能性が高いことが考えられます」(菅原氏)
欧州環境庁が18年9月19日に発表している資料では〈EU内の地表水域約11万1000カ所中約4万6000カ所が魚食性の哺乳類・鳥類保護のための水銀基準を上回っていた〉との報告がある。
「輸入食品を扱う店には、海外産のツナ缶も並んでいるかと思いますが、もし心配ならば、どうしても食べたい味ではないかぎり、控えた方がいいのかもしれません。そして今回、2団体の調査結果によって欧州各国がどう動くのかを見極めてから食べれば、安心できるのではないでしょうか」(菅原氏)
また、この報道を機に、日本のツナ缶に対して不安を抱く人もいるかもしれないが、
「各メーカーの公式サイトをチェックすることで、そうした不安は解消できると思いますよ」(菅原氏)
マルハニチロの公式サイトをのぞくと「お客様相談室」のページに「魚に蓄積された水銀が心配」という質問があり、次のような回答が記載されていた。
〈多くの魚介類では水銀の含有量は少なく、健康に害をおよぼすものではありません。ただし、妊婦さんが注意すべき魚介類とその摂取量を公表していますので、それにしたがって特定の水産物を偏食することがないようにしてください。なお、当社では国の基準に則って水銀の管理をしております〉
安全性に優れたニッポンのツナ缶。国や自治体が公開しているガイドラインを頭の片隅に入れておくだけで“安心”というナットク感が得られよう。このことが、何よりの調味料なのではないだろうか。
*週刊アサヒ芸能11月28日号掲載