【今回のお値段「ジェネリック医薬品」:ジェネリック医薬品 1錠30~50円新薬 100円前後(原価1~10円以内+膨大な研究開発費)】
ある薬品メーカーが「新薬」を開発。一定の独占販売期間が終了した後、同じ有効成分、効能を持った薬を別の薬品メーカーが改めて売り出す。これが「ジェネリック医薬品」だ。だから最初に出た新薬を「先発薬」、ジェネリックを「後発薬」ともいう。ある薬品メーカー関係者によれば、
「新薬の開発は、1種類作るだけでも、時に15年以上、費用も200億円以上かかったりするといわれています。だからこそ、国はしばらく特許を認め開発メーカーに独占販売権を与えて開発経費を回収してもらう。その期限が過ぎてから、他社がより安価で出すジェネリック医薬品の販売を認めるのです」
新薬の独占販売期間は基本的に発売から8年間ともいわれる。
価格的にいえば、実際にジェネリックが出る時の先発薬とジェネリック製品の薬価差は50~60%程度。ただ、この薬価から卸会社がさらに値引きして販売するので70%くらいの差になるものも結構ある。つまり1錠100円の先発薬なら、ジェネリック品の小売価格は30~50円くらい。一方で、先発薬も、ジェネリックの普及度に応じて、薬価を引き下げていくため、先発薬はジェネリックが出ると年々、薬価は安くなっていく。
ちなみに薬の場合、1錠の価格が100円の「新薬」でも、1錠の材料原価はせいぜい1~10円程度。その一方で、とにかく開発にかかる費用が莫大。数千から万単位の成分をチェックして、ようやく「新薬」になるのは1つ、なんてザラにある業界でもある。片や、ジェネリック製品は開発部分の負担があまりなく、ギャンブル的要素もほぼない。価格が安いのも当然だ。
流通的には、製品はメーカーから卸を通して薬局に行くのが基本。そのマージンはどちらも2%から5~6%くらいしか取らない。ジェネリックの会社に都合のいいシステムが整っているのだ。前出・薬品メーカー関係者も、
「高齢者が増えて、国の健康保険関連の予算もひっ迫しているでしょ。だから、厚労省も国民にはできるなら安いジェネリック医薬品を使ってほしい。会社の健康組合でも、保険料の支払いは抑えたいから、ジェネリックに流れていく傾向がありますね」
ただし、「新薬」を開発するメーカーがそろって大手なのに対し、ジェネリックを扱う会社の中には、工場がどこにあるのかわからないような外国企業なども時には含まれていて、「先発薬しか飲まない」ユーザーも少なくない。
「安さ」だけではない。「安心感」を求める人たちもいるのだ。
山中伊知郎(やまなか・いちろう)以前、東洋医学の本を出そうとした時、漢方薬にはジェネリックがあるのか調べた。なかった。というか、ジェネリックという発想自体、含まれる成分が厳密に規定されていない漢方薬にはないみたい。