【今回のお値段「便利屋」:開業費用200万~300万円(料金1時間 1人2000~4000円)】
「便利屋」の仕事は、多岐にわたっている。定番といえるのは部屋の掃除、引っ越し手伝い、家具の組み立て、草刈りなどの庭仕事などだが、昨今は「レンタル友達」や人生相談の相談相手といった需要まである。確実に利用者も増えているようで、ある業界関係者によれば、
「最大の要因は、高齢化社会が進んでいることでしょうね。1人暮らしのお年寄りが多くなって、例えば部屋の片づけもままならない。でも手伝ってくれる人もいない。となったら手っ取り早いのは便利屋でしょ。共働き夫婦が増えて奥さんが落ち着いて家事をやる時間がなくなったのもあるでしょう」
まさに、時代が生んだ成長産業と言うべきかもしれない。
では実際に開業しようとすれば、どれくらいの費用がかかるのか。基本的に電話で注文を受けて相手先に行くので、事務所費用などはかからない。携帯電話1台でも大丈夫。しかし片づけたゴミを運んだり、引っ越しの仕事にライトバンなどの車は必須だ。これで50万~100万円くらいはかかる。それと工具や掃除機や芝刈り機といった電気機器、脚立から台車をはじめ、様々な注文に対応できるように準備しておかないといけない。これが最低20万~30万円。
とりあえず合計100万円もあればスタートは可能なのだが、だからといって、未経験者ならすぐ客が見つかるはずもない。まず、最初にフランチャイズに加盟して、その経営のノウハウを学ぶのが定石だ。広告宣伝についてもフォローしてもらえるが、加盟金に100万円前後、研修費として30万~50万円くらいは覚悟しないといけない。つまり開業資金の総額は200万~300万円くらいか。で、開業後の料金設定としては、大体は派遣される人員が1人につき1時間2000~4000円前後で、交通費や車両経費は別、特殊技能が必要な内容ならさらに追加、といった形で決められていく。
もちろん需要が増えているからといって、それ以上に便利屋の数も増えているのだから、サバイバルは楽ではない。しかも、前出・業界関係者によれば、
「便利屋のライバルは便利屋だけではないんですね。ハウスクリーニングでも、引っ越しでも、家事代行でも、みんな、専門業者がいます。その分野に関しては彼らの方がスキルは高い。掃除も電気工事も庭仕事もそつなくできて、困り事があったら『とりあえずいつもの便利屋さんを呼ぼう』と『とりあえず』思い出してもらえる存在にならなくてはいけないんです」
どの分野においても万能なユーティリティプレーヤーにならないと生き残れないのだ。
山中伊知郎(やまなか・いちろう)かつて、テレビのバラエティー番組で、「放送作家」の肩書で出演者への事前取材から、データ集め、コーナーのアイデア出しなどをやっていた。あれ、「テレビの便利屋さん」だな。