マスク氏の「火星移住計画」ではトランプ票は稼げない…テイラー・スウィフトとの米大統領選“代理戦争”

 11月5日のアメリカ大統領選挙まで1カ月を切り、ハリス氏、トランプ氏両陣営はラストスパートでテコ入れを図っている。そしてトランプ氏は“復活”を象徴づけるため、10月6日に最初の銃撃があったペンシルベニア州の同じ会場で集会を行い、そこにはイーロン・マスク氏も駆けつけた。トランプ応援団の筆頭として、彼は彼なりに、どうしてもトランプには勝ってもらわなくてはならない事情があってのことなのだが。

「マスク氏がトランプ氏を応援するワケは様々でしょうが、最大の理由の1つが『火星移住計画』の実現というのだから、彼のような異才の人以外は唖然とせざるを得ません。マスク氏は9月に自らが運営するXで、こちらも自身が運営するスペースXでの火星開発計画のスケジュールを発表しています。それによれば、26年にスペースXのスターシップを火星に到達させ、30年には有人探査を実現させるという。そして最終的には火星に人類を移住させたいと考えているわけですが、そのためには100万人規模で人類を送り込まないと移住は完遂できないとして、それはハリス政権では無理で、トランプ氏でないと実現できないと言っているわけです」(経済ジャーナリスト)

 そんなことを言われたとて国民は「そうですか」と言うほかはなく、なんとも説得力のない話なのだが、かたやハリス陣営には、かねてからジョージ・クルーニーやロバート・デニーロ、ジュリア・ロバーツなど、ハリウッド俳優の多くの応援団がいて、庶民への浸透度は高い。

「前回の大統領選挙でバイデン支持を表明し、選挙戦を大きく左右したテイラー・スウィフトがいつ“ハリス支持”を打ち出すかに『まだかまだか』の声が上がっていましたが、9月10日にようやく明言しました。最近では、ロック界の重鎮で『The Boss』 の異名で知られるブルース・スプリングスティーンもハリス支持を表明しました」(同)

 アーティストのファンはアーティストの意向に賛同しやすいため、少なくとも「火星移住の実現」よりはよほど投票行動を左右しやすいだろう。さらに舌禍が多いマスクが応援団だと、いつ・どんなマイナスの波紋を広げるか分からず、今後のリスクも伴うはずだ。

(猫間滋)

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