徴兵逃れで65万人が国外脱出!「ロシア難民」がアジアで引き起こす大問題

 ロシアの軍事侵攻から2年半が経過したが、停戦の気配がまったく見えないウクライナ情勢。最近では無人攻撃機によるロシア国内への攻撃が本格化しており、同国の民間人にも死傷者が出ていることが報じられている。

 そんなロシアでは開戦後、国外へ脱出する者が後を絶たず、22年9月にプーチン大統領が予備役を招集するための部分動員令に署名すると再び脱出ラッシュが発生する事態に。

 ロシアの独立系ニュースサイト「ザ・ベル」が今年7月に報じた記事によると、22年2月のウクライナ侵攻後に徴兵逃れで国外脱出を図ったロシア人は65万人以上。これはロシア国民の225人に1人ともはや看過できない数だ。

 もともとロシアには義務兵役制度が存在。大学などの高等教育機関に在籍していたり、健康状態に問題があれば免除されることもあるが、原則として男性は18歳から30歳の間に1年間の兵役に就かなければならない。

「ロシア政府は招集した予備役は後方勤務に従事させる意向を示していましたが、前線で戦闘に参加させていたことが暴露されています。同様に後方勤務のはずだった義務兵役中の新兵の中にも前線送りになった者がいたことも明らかになっています」(軍事ジャーナリスト)

 ただし、どちらもロシア国民の間では当初から懸念されていたことだ。そのため、こうなることを予測した上で国外脱出を図った者もかなりいたようだ。ちなみに出国先としてもっとも多かったのがアルメニアの11万人。次いでカザフスタンとイスラエルの8万人、ジョージアの7.4万人、米国の4.8万人と続く。また、トルコや中央アジア、中東、東南アジア、南米などに向かった者も少なくない。

「彼らは国外に脱出するだけの資金があった者たちですが、現地で資金が底を尽き、生活に困窮している者もいます。そのため、不法就労だけでなく犯罪に手を染める“ロシア難民”もおり、タイやインドネシアといったアジアの国々では社会問題となっています」(同)

 ロシアから離れても、新天地で新たな苦難が立ちはだかっているようだ。

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