【ロシア】プーチンがウクライナの次に是が非でも欲しい「バルト三国」が孕む内部崩壊

 ウクライナの次にロシアのプーチン大統領が狙っていると囁かれているバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)。北海道のほぼ2倍の面積に約600万人が暮らす小国だが、地政学的には重要な意味を持つ。リトアニアの隣にはロシアの飛び地、カリーニングラードが存在するからだ。

 ロシアから物資を送る場合、リトアニアを通る必要がある。道路の利用は認められていないため、輸送手段は鉄道のみ。しかも兵器の輸送は禁止されており、こちらに関しては海上でしか輸送できない状況となっている。

 一方、バルト三国にとっても西側諸国で陸続きなのはポーランドのみ。スヴァウキ回廊と呼ばれるリトアニアとの国境地帯をロシアに抑えられてしまうと干上がってしまう可能性があり、双方にとって急所ともいえる。

「バルト三国にはロシアに抵抗するだけの軍事力はありませんが、いずれもNATO加盟国の戦闘機や軍艦などが派遣されています。プーチンにとっては目の上のたんこぶで、NATO軍との全面衝突を避けるために簡単に手は出せない。そのため、ウクライナとは違ったアプローチを取っていると言われています」(軍事ジャーナリスト)

 その一つが、“親ロシア政権”の樹立だ。欧州ではハンガリーのオルバン首相、スロバキアのペレグリニ大統領が親ロシア派で、EUは決して一枚岩ではない。バルト三国のうち、ラトビアは4割、エストニアは3割がロシア系住民。特にラトビアでは22年の前回選挙では惨敗したが、18年の選挙では親ロシア系政党が第一党になっている。

「しかも、各国ともにロシア系住民には今もロシア、プーチンを支持する人が多い。最近では無人機を使ってロシア国内で攻撃を繰り返すウクライナに対し、当初ほどの同情の声もありません。親ロシア系の政党がバルト三国で勢力を拡大させる可能性は大いにあると思います」(同)

 今後の世界情勢において、バルト三国が重要な意味を持つのは間違いなさそうだ。