【中国】「靖国落書き男」も「NHK放送テロ男」もトンズラで「結局日本は泣き寝入りか!」怒りの声

 この中国での報道が事実なら、もはやNHKが損害賠償だ、刑事告発だと騒いだところで、もはや後の祭りなのではないか…。

 8月19日に発生したNHKラジオ国際放送での中国語ニュースを巡る“放送テロ”で、NHKから契約を解除された中国籍の40代男性がすでに中国に帰国していたとする一部中国メディアの報道を受け、SNS上では怒りと同時に「やっぱりな」という声が上がっている。

 男性は、放送中の番組の中で沖縄県の尖閣諸島を「中国の領土だ」などと原稿には一切書かれていない発言を行ったが、そのプロフィールは文字通りエリートと呼んでいい人物だった。

「一部メディアの報道によれば、男性は1975年生まれ。20代で来日して東大大学院を修了。その後はフリーランスのジャーナリストとして活動する傍ら、翻訳を手掛けたり、大手企業や官公庁などでも中国語ナレーターの仕事をするなど、幅広く活動していたとされます。フリーランスなので仕事は派遣会社からの出向という形になり、その現場の一つがNHKだったようです」(全国紙社会部記者)

 NHKでは、この男性外部スタッフがこれまでにも原稿にない文言を発言したことがないかなど、過去にさかのぼってチェックしているというが、やはり“いまさら感”は否めない。

 しかもNHKは、解雇通達後の損害賠償請求や刑事告訴の検討を示唆しているが、本人が本国に戻っているとの報道が事実であれば、この先、本当に聞き取りすら行えるのかどうかも怪しくなってくる。

「今回の中国人男性による行動について、中国のSNS上では、《よくやってくれた!》《あなたは英雄!正義のヒーローだ!》といった称賛の声が相次いでいます。そんな中の26日、SNS『微博(ウェイボ)』には、本人とみられるアカウントで《祖国に帰ってきた。ゼロからスタートする。心配しないで》とのコメントがアップ。加えて《すべての真実や真相を22秒に濃縮した》《勇敢に行動したからには、今後も平然と立ち向かう》という書き込みがあった。中国メディアはこれを『男性のものだ』と断定して報じ、中国では今、男性の言動が称賛され、今後は中国のテレビ局が全面的に彼に仕事を与えるべき、という声も多いようです。そんな状態でNHK側がどうやってアプローチをかけるのか…。相当難しくなったと考えて間違いないのではないでしょうか」(同)

 一方、6月に東京・千代田区の靖国神社の石柱に赤いスプレーで「トイレ」と落書きしたばかりか、なんと用を足す動画を中国のSNS上にアップ。平然と中国に帰国していた男が中国国内で逮捕されていた、と27日付の中国紙「星島日報」が報じ、波紋が広がってる。

 男は住所、職業不詳の董光明容疑者、36歳。同容疑者は案内役とみられる中国籍の男(逮捕済み)ら3人で犯行に及び、警視庁公安部により器物損壊と礼拝所不敬の疑いで指名手配されていたが、犯行の数時間後には日本を離れ中国に戻っていたようだ。

「董容疑者は中国の動画配信サイト上で、『鉄頭(ティエトウ)』を名乗るインフルエンサー。もともとは企業などの不正を暴く『正義系配信者』として、その分野ではよく知られる存在だったようです。ただ、近年は同様の内容で追随するインフルエンサーも増え、再生回数が伸び悩んでいたという。そこで巻き返しを図るため、日本で愛国心をアピールすることを考えたようですが、実はこの男、中国国内でもさままざな犯罪に手を染めており、今回は恐喝容疑での逮捕だったと伝えられています」(同)

 星島日報によれば、男を逮捕した杭州市公安局浜江支局は、「(逮捕に至る)具体的な詳細を明らかにするのは不都合」としているものの、家宅捜索では4台のスマホとハードディスクなどを押収したと発表。今後は余罪も含め捜査が続くことになるだろうが、とはいえ、この逮捕と、靖国神社の事件とは全く別の話だ。というのも、そもそも日本は中国との間で犯罪人引き渡し条約を締結していない。したがって、いくら日本側が指名手配しようが、中国側に引き渡し義務は一切生じない。つまり、このままなら「放送テロ男」も「落書き男」も、日本側は一切手出しができない状況になる可能性が大きくなるというわけだ。いずれにせよ、日本政府の今後の対応に注目が集まっている。

(灯倫太郎)

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