記者がナマ体験「世界一の絶景航路」は乱気流多発の難所だった!

 鉄道の魅力の一つは、車窓の景色。テレビや雑誌では海沿いや山間を走るローカル線が絶景路線としてたびたび紹介されているが、飛行機にも“絶景航路”というのが存在する。

 日本だと羽田や成田から西へ向かう場合、日中は富士山を眼下に眺めることができる。海外から戻ってきた人は帰国を、外国人は日本に来たことをそれぞれ実感する瞬間だ。

 そして、日本―欧州のフライトではオーロラを鑑賞できるチャンスがある。ウクライナ戦争の影響でロシア上空を飛行できないため、北回り、南回りのいずれかのルートを採用しているが、冬場の北極越えの北回りルートなら高い確率で遭遇することができる。また、航路の一部が北極圏上空となる欧州―北米の大西洋越えルートも同様だ。

 一方、航路としてはマイナーだが、知る人ぞ知る絶景航路なのが中国・チベット自治州のラサとネパールの首都カトマンズを結ぶヒマラヤ越えのルート。以前は中国国際航空が運行していたが、現在はネパールのヒマラヤ・エアラインズが週3往復している。

 ネパールを訪れる観光客の間ではヒマラヤの遊覧飛行が人気アクティビティとなっているが、こちらはあくまで旅客輸送用のフライト。それでもヒマラヤを縦断するため、晴れていればエベレストをはじめとする7000~8000m級の山々を堪能できる。

 なお、ラサ以外にも中国だと成都と青島、他にも韓国の仁川がヒマラヤ越えのルートでカトマンズに就航。記者は過去にラサ、成都との便に複数回搭乗したことがあるが、険しくも白く美しいヒマラヤの山々はずっと見ていてもまったく飽きることはなかった。

 ただし、ヒマラヤ上空は乱気流が発生しやすい難所としても有名。もう15年以上前のことだが、カトマンズ発ラサ行きで機内食が配られた後に乱気流による強烈な揺れが発生。しかも、機内食の匂いの影響なのか複数の乗客が次々と嘔吐。外は絶景なのに機内は地獄というカオスな状況だったのを覚えている。

 そんなハプニングが起こる可能性もあるが、遊覧飛行気分も味わえて一石二鳥なのは間違いない。空から眺める世界の屋根はきっと一生の思い出となるはずだ。

(高島昌俊)

※写真は中国―ネパール航路の景色

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