「首から水筒をかけたら危ないぞ」――。男が小学生女児に声かけした事案が物議を醸している。
福岡県警田川署は7月17日、小学生女児らが見知らぬ男から「首から水筒をかけたら危ないぞ」などと声をかけられる事案が発生したとして、防犯メールで注意を呼びかけた。男は70歳くらいで身長170センチ程度のやせ型。茶色のTシャツ、白色の長ズボンを着用していたという。
近年は通報があると不審者情報がすぐにメールで送られ注意喚起がなされるが、中には「本当に不審者なの?」と疑うような事例も散見される。今回の「首から水筒をかけたら危ないぞ」もまさにそのひとつで、SNS上では「むしろ親切じゃないか」という声が相次いでいるのだ。
「消費者庁・国民生活センターには、水筒を持ち歩く子どもの転倒事故についての情報が医療機関より多数寄せられています。この時期、子どもが水筒を持ち歩くことが多いですが、転倒した際に首や肩にかけていた水筒で腹部を強打し、内臓を損傷するなどの思わぬ事故が発生しています。ひどいものでは、小腸破裂や膵臓の50%程度を摘出したという事例も報告されています。子どもは転倒しやすく、反射的に手をつくといった動作が取りにくいため、水筒はなるべくリュックサックなどに入れるようにしたほうがいいでしょう」(生活アドバイザー)
あくまでも推測の域を出ないが、今回の事案も、そんな情報を耳にして心配した高齢男性が、親切心から子どもに声をかけたのではないか。もしそうであれば、思いやり行為が不審者情報として認識されたわけで、防犯メールに流された男性はやるせない気持でいっぱいだろう。
エジプト出身のタレント・フィフィは18日、自身のXで「そりゃ危険な行為を見ても我関せずの世の中になりますよ…」と、世知辛い世の中を嘆いている。かつては周囲の大人が注意や声かけすることで事故や犯罪を未然に防いでいたが、もはや見知らぬ他人には注意を呼びかけることすらできない時代になりつつあるようだ。
(ケン高田)